「海外に行くと強くなる」先達の教えを本当の意味で理解。“人として”タフになり、大舞台を目ざす【パリの灯は見えたか|vol.2 斉藤光毅】

2023年04月22日 松尾祐希

個の力では大きな差を痛感

オランダで研鑽を積む日々。今季は29節終了時点で21試合に出場し、4得点・5アシストを記録。(C)Getty Images

[インタビュー連載]パリの灯は見えたか|vol.2 斉藤光毅/後編

 3試合連続ゴールを記録するなど、シーズン後半戦に入って調子を上げている。

 1年3か月後に迫ったパリ五輪でエース候補と目されるアタッカーは、海外生活でひと回りもふた回りも逞しくなった。だが、異国の地でのチャレンジがスムーズにいったわけではない。多くの挫折を乗り越えたからこそ今がある。

 ベルギーでのロンメルに続き、海外2か国目となったオランダの地でも困難の連続で、最初は自身の立場が確立できていたわけではなかった。昨年6月にウズベキスタンで行なわれたU-23アジアカップで苦しみ、その直後に加わったスパルタでは、どのようにしてポジションを掴んだのか。

 そして、その経験は代表で活かされるのか。絶賛進化中の21歳は、虎視眈々とさらなるステップアップを目論んでいる。

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 U-23アジア杯を戦ったウズベクから日本に戻らず、そのままオランダに渡った斉藤は、慌ただしい日々を過ごしていた。

 海外生活で使っていた財布を日本から送ってもらい、荷物はベルギーから持ってきた最低限のものしかない。新居も決まらず、2週間ほどホテル暮らし。生活環境が整わないまま、シーズン前のキャンプに臨んだ。しかし、オランダの文化がまるで異なる。合流当初、斉藤も違いを感じ取った。

「スパルタもロンメル(ベルギー)と同じく、ステップアップをしたい選手が多い。だけど、ロンメルと比べると、チームのためにというか、クラブが勝つためにという意識が強い気がする」

 戦術面でも大きく異なり、よりタクティカルな要素を求められた。斉藤は言う。

「サッカーの違いは当然あると思っていた。ベルギー2部とオランダ1部ではレベルも違うし、強度も違う。ベルギー2部のほうが縦に速いサッカー。言い方を選ばずに言うと、ごちゃごちゃしている。スパルタも含めて、オランダリーグはルールを決めて、きちんとサッカーをするクラブが多い。

 実際に色々戦術があり、それを仲間で共有して戦う。チームとして出来上がっているし、チャンピオンズリーグに出場するクラブとも対戦するので、チームとしても個人としても差を感じる」

 とりわけ、個の力に関しては大きな差を痛感させられた。「対人プレーで全く敵わないことはないけど、(上手さに関係なく)結果を残す選手もいるし、苦しい時間帯にスプリントできる。そういう面で細かい差があった」と感じ、「逆に結果を残さなくても、『この選手のおかげでチームが回る』という選手もいる。それぞれの個性をチームのなかで活かしている」ということにも気付かされた。
 

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