「自信を持ってプレーできた」堂安律、王者バイエルンとの2連戦で生まれた“変化”を明かす「やられなかったっていう…」【現地発】

2023年04月21日 中野吉之伴

「感覚的には悪くなかったです」

バイエルン戦を経て、チーム自信が生まれたと語った堂安。(C)Getty Images

 試合終了の笛が鳴った後、クリスティアン・シュトライヒ監督は大きなガッツポーズをした後、アシスタントコーチと力強く抱き合っている姿が印象的だ。ドイツカップ準々決勝でドイツの絶対王者バイエルンを撃破した時でも、そうした素振りは見せていなかった。

 それはこのブレーメン戦が、フライブルクにとって非常に重要な位置づけにあった試合だったからだろう。

 カップ戦でバイエルンを下して準決勝に進出した直後にはリーグ戦で再びバイエルンと対戦。オランダ代表CBマテイス・デリフトの豪快なミドルシュートによる失点で0-1と敗れたが、ゴールチャンスも作り出し、その勇敢な戦いぶりに試合後ファンからは熱い拍手が送られていた。切れ味鋭いプレーで躍動していた堂安もチームのパフォーマンスにはポジティブな印象を口にしている。

「押し込まれる場面もあったけど、あれでやられなかったっていう前の試合(カップ戦準々決勝)の自信もありました。もちろんビックチャンスは作られましたけど、前回のカップ戦と比べても、僕らにとってそれほどのピンチはあまりなかったので、自信を持ってプレーできました。感覚的には悪くなかったです」
 
 世界的な強豪相手に2試合連続でいい試合をしたら、選手もチームもこれ以上ない手ごたえと自信をつかむだろう。シュトライヒ監督はそれを認めたうえで、冷静に自分たちがやるべきことを見誤ってはならないと警鐘を鳴らしていた。

「大事なのは正しく整理をすることだ。バイエルン戦は特別な試合。全力で戦い、1試合勝って、1試合負けた。選手はファンから大きな賛辞を贈られる。それは順当な賛辞だ。だが、我々は勝点は手にしていない。そしてここからの試合は難しい試合ばかりだ。全てが同じ調子で進んだりはしない。全く違う状況での試合だ。次はブレーメンを全力で応援するファンで埋め尽くされたスタジアムで試合をする。自分たちは安定感を示さなければならない。そしてヘルタとマインツにそれぞれ勝点2ずつとり逃してしまったことを忘れてはならない。あそこで取り逃したものを取り戻したいのだ」

 リーグで上位につけるフライブルクを相手に、他クラブは守備を固めてくることが増えている。組織的にスペースを埋め、カウンターの機会を伺ってくる。チャンスを作り出すのも、ミスせずゲームをコントロールするのも簡単なことではない。バイエルンに勝ったから他のクラブにも勝てるという話ではないのだ。

 自信はちょっとしたことでうぬぼれにもなってしまう。だからこそ、メンタル的にも100%の力を発揮できるように心の準備をしていく取り組みが非常に重要であり、シュトライヒはそこを何度も強調していた。

 そうした背景がある中で、アウェーで相手に先制を許しながら逆転勝利を挙げたのだから、シュトライヒも喜びを爆発させたのだろう。

【動画】「あぶな」「足裏でカードなし?」とファン憤慨!堂安の頭にドイツ代表FWのキックが直撃したシーン

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