流通経済大戦で『これぞエース』の仕事ぶり! パリ五輪を目ざす明治大の10番・佐藤恵允が“大きな目標”へ向けた勝負の年へ

2023年04月14日 安藤隆人

「凄まじい推進力」と指揮官も絶賛

明治大で10番を背負うエースFW佐藤。写真:安藤隆人

 紫紺の10番が『これぞエース』という仕事をハイレベルな技術とともにやってのけた。

 関東大学サッカー1部リーグ第2節・明治大対流通経済大の一戦。明治大の10番・佐藤恵允は複数のマークをつけられるも、強引なドリブル突破やボックス内でのシャープかつ強度の高いプレーで何度も相手ゴールに迫った。

 0-1で迎えた73分には、左サイドを突破したMF中村草太のマイナスの折り返しに対し、「相手DFが僕に対してアタックに来ているのが見えていたし、スライディングでブロックしてくると思った」とボールを足もとで受けると見せかけて、一度身体を引いてから右足トラップ。しかも、「ブロックによって下が塞がると思った」とわざと右足をボールの下に入れ、トラップを浮かせて時間を作って、目の前を通過させてから、右足を振り抜いた。

 一瞬のうちに巧妙な判断と体幹の強さ、技術を見せつける高度なプレーで同点ゴールをマークした。
 
 しかしチームはその後、一度は逆転をするも、88分に同点に追いつかれ、2-2のドローで決着。だが、「佐藤に頼ってしまう部分があった。そこは反省だが、彼は本当に凄まじい推進力を持っている」と栗田大輔監督が語ったように、この試合における佐藤の存在感は圧倒的だった。

「自分がボールを持つと2人、3人に強くマークをつかれて、すごくやりづらい部分はありました。もちろん、全部1人で打開できればそれが一番良いのですが、仲間を使って、もう一度自分が受けて最終的に決めるという部分はできた。でも、やっぱり勝ちに持っていきたかった」

 佐藤はこう試合を振り返った。その言葉通り、流通経済大は徹底して佐藤に自由を与えさせない守備をしてきた。そのなかでも佐藤は前述したように、屈強なフィジカルを活かした突破やシンプルに周りに配るパス、そしてボックス内では積極的にシュートを狙う姿勢を見せ続けた。

「ゴールシーンは冷静だったのですが、それ以外のシーンでちょっと強引すぎたプレーもあって、そこは反省です。パワーでシュートを打つ場面と、シャープでコンパクトなスウィングでシュートを打つ場面と、もっと使い分けをすることができれば、もっと点を取れたかもしれない。そこが僕の課題だと思います」
 

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