「優勝を逃したのは悔しいがプラスに捉えたい」と黒田監督。
豊島(写真)ら、起用された3年生が奮起し、2-1でFC東京U-18との最終戦に勝利した青森山田。選手権に向けてモチベーションは高まりを見せている。写真:安藤隆人
望んでいた優勝には届かなかったが、有終の美を飾ることはできた。
前節(17節)、鹿島ユースとの首位決戦に敗れ、2位に転落した青森山田は、最終節となったアウェーのFC東京U-18戦で勝利をすれば、鹿島ユースが引き分け以下で逆転優勝が決まる状況だった。
「鹿島ユースの結果は気になるけど、我々は目の前の相手に勝つのみ。そこに集中してやらないといけない」
そう語る黒田剛監督の表情は、前節と比べると少し朗らかというか、すっきりしたものに見えた。それは選手たちも同じで、緊張から硬さが目立った前節と比べれば、この試合は青森山田らしい攻撃色を打ち出したサッカーを展開した。
黒田監督はこの試合でいつもより3年生を多く起用した。いつもはスタメンの半分は2年生だが、GK木村大地、ボランチの岡西亨弥、左MF三上孝太、右MF豊島祐希と、2年生がスタメンを張ることが多かったポジションに3年生を配置。この采配がズバリ的中をした。
開始早々の3分、FW鳴海彰人のパスを受けたMF高橋壱晟が、タイミングよく裏へ飛び出した豊島にパス。豊島は縦に仕掛けると、右足を強振。強烈なシュートはGKを弾いてゴールに吸い込まれた。
その後、FC東京の猛攻を受け、ピンチが続いたが、岡西がアンカーとして鋭い出足を見せると、GK木村も安定したプレーを見せた。44分にFC東京のエース佐藤亮に同点ゴールを決められるが、後半に入ると、運動量と縦への推進力で上回り、FC東京を押し込んだ。
62分にフリーキックやサイドチェンジなどで存在感を示していた三上に代わって、2年生FWの田中優勢が入ると、俊敏な動きと積極的な仕掛けで、攻撃をさらに活性化。67分には高橋のパスを受けたエース神谷優太が決勝弾を叩き込む。その後も攻撃のリズムを掴みながら試合を運び、2-1の勝利を収めた。
結果は鹿島ユースが市立船橋に2-1で勝利したため、青森山田の優勝はならなかった。しかし、最終戦で見せた戦いぶりは、大きな成長の跡を感じるのに十分なものであった。先発出場した3年生がチームを力強く牽引し、途中出場の2年生・田中優勢が攻撃を活性化させ、最後はエースがきっちりと決めて、勝利を掴む。
「選手権につながる試合だったと思う。3年生も存在感を見せてくれたし、なにより悔しい気持ちが残った状態で、最後の大会に臨める。優勝を逃したことは悔しいけど、プラスに捉えたい」
黒田監督の言葉がすべてを表わしていた。2位という最終順位は素晴らしい成績だが、満足できない結果に終わったことで、選手権に対する想いがより強くなったことは間違いない。
「選手権はプレミアと違った難しさがあるけど、この悔しさを晴らすには選手権しかない。もう一度気持ちを引き締めて望みたいと思う」(DF北城俊幸)
大きな財産と悔しさを胸に。青森山田は集大成の大会となる選手権に向けてリスタートを切った。
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
前節(17節)、鹿島ユースとの首位決戦に敗れ、2位に転落した青森山田は、最終節となったアウェーのFC東京U-18戦で勝利をすれば、鹿島ユースが引き分け以下で逆転優勝が決まる状況だった。
「鹿島ユースの結果は気になるけど、我々は目の前の相手に勝つのみ。そこに集中してやらないといけない」
そう語る黒田剛監督の表情は、前節と比べると少し朗らかというか、すっきりしたものに見えた。それは選手たちも同じで、緊張から硬さが目立った前節と比べれば、この試合は青森山田らしい攻撃色を打ち出したサッカーを展開した。
黒田監督はこの試合でいつもより3年生を多く起用した。いつもはスタメンの半分は2年生だが、GK木村大地、ボランチの岡西亨弥、左MF三上孝太、右MF豊島祐希と、2年生がスタメンを張ることが多かったポジションに3年生を配置。この采配がズバリ的中をした。
開始早々の3分、FW鳴海彰人のパスを受けたMF高橋壱晟が、タイミングよく裏へ飛び出した豊島にパス。豊島は縦に仕掛けると、右足を強振。強烈なシュートはGKを弾いてゴールに吸い込まれた。
その後、FC東京の猛攻を受け、ピンチが続いたが、岡西がアンカーとして鋭い出足を見せると、GK木村も安定したプレーを見せた。44分にFC東京のエース佐藤亮に同点ゴールを決められるが、後半に入ると、運動量と縦への推進力で上回り、FC東京を押し込んだ。
62分にフリーキックやサイドチェンジなどで存在感を示していた三上に代わって、2年生FWの田中優勢が入ると、俊敏な動きと積極的な仕掛けで、攻撃をさらに活性化。67分には高橋のパスを受けたエース神谷優太が決勝弾を叩き込む。その後も攻撃のリズムを掴みながら試合を運び、2-1の勝利を収めた。
結果は鹿島ユースが市立船橋に2-1で勝利したため、青森山田の優勝はならなかった。しかし、最終戦で見せた戦いぶりは、大きな成長の跡を感じるのに十分なものであった。先発出場した3年生がチームを力強く牽引し、途中出場の2年生・田中優勢が攻撃を活性化させ、最後はエースがきっちりと決めて、勝利を掴む。
「選手権につながる試合だったと思う。3年生も存在感を見せてくれたし、なにより悔しい気持ちが残った状態で、最後の大会に臨める。優勝を逃したことは悔しいけど、プラスに捉えたい」
黒田監督の言葉がすべてを表わしていた。2位という最終順位は素晴らしい成績だが、満足できない結果に終わったことで、選手権に対する想いがより強くなったことは間違いない。
「選手権はプレミアと違った難しさがあるけど、この悔しさを晴らすには選手権しかない。もう一度気持ちを引き締めて望みたいと思う」(DF北城俊幸)
大きな財産と悔しさを胸に。青森山田は集大成の大会となる選手権に向けてリスタートを切った。
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)