鳥栖新監督内定のマガトにまつわる数々の噂。「欧州最後の独裁者」「意外に紳士的」 本当の顔は?

2015年12月09日 遠藤孝輔

ラーム、クラーニィらを育て上げ、悩める名門を再建したことで評価を上げる。

鳥栖の新監督に就任することが決定的なフェリックス・マガト氏。選手としても指導者としても輝かしいキャリアを持つ人物だ。(C) Getty Images

 サガン鳥栖の新監督就任が内定している62歳のドイツ人指導者、フェリックス・マガトが12月8日に来日した。
 
 古巣シュツットガルトの監督就任も噂されていたが、そのシュツットガルトの関係者によれば、ロビン・ドゥットSDを筆頭とする反対派の抵抗に遭ったという。鳥栖でどれほどの権限が与えられるか定かではない。ただ、GM(ゼネラルマネジャー)職を兼ねるのがマガトのスタンダード。それをドゥットが承服しなかったのだろう。
 
 とはいえマガトの招聘に動いていた幹部が存在したのは確か。低迷するチームを立て直そうと、背に腹は代えられない思いで、ひと癖もふた癖もある彼に接触を図っていたようだ。実際、マガトは来日の2日前、メルセデスベンツ・アレーナ(シュツットガルトのホームスタジアム)のVIPルームで目撃されている。
 
 鳥栖が招聘まで漕ぎ着けた経緯は、遅かれ早かれ明らかになるはずだ。いずれにしても、フルアムの監督職を追われた14年9月以降は解説業に精を出していたマガトが、現役指導者のビッグネームである事実に疑いの余地はない。
 
 そのキャリアを振り返れば、攻撃的MFとして鳴らした現役時代はハンブルクの中心選手として活躍。82-83シーズンのチャンピオンズ・カップ制覇の原動力となり、クラブに黄金期をもたらした。西ドイツ代表の一員として、80年の欧州制覇も経験している。
 
 ドイツ屈指の指導者と称えられるようになったのは、2001~04年に監督を務めていたシュツットガルト時代。フィリップ・ラームやケビン・クラーニィ、ティモ・ヒルデブラントら、のちにドイツ代表まで上り詰める若手を鍛え上げながら、悩める名門を真の強豪へと復活させた。その後、バイエルンで二度、ヴォルフスブルクで一度、ブンデスリーガ制覇を成し遂げている。
 

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