選手権では悔しい準優勝…関西大の新1年生・真田蓮司が見据える“日本一”「本気で目ざしていきたい」

2023年04月08日 安藤隆人

「新しい経験をできることは大きなプラス」

関西大に進学した真田。本職のボランチではなくサイドハーフでも堂々たるプレーを見せる。写真:安藤隆人

 昨年度の第101回全国高校サッカー選手権大会は岡山学芸館の初優勝で幕を閉じたが、決勝の相手となった東山も非常にまとまりがあって、攻守の切り替えの速さ、強度ともに質の高い好チームだった。

 この東山のボランチとして中心に座り、豊富な運動量を駆使して、激しい球際の守備とボールの中継地として機能し、攻撃のリズムを生み出すパスを繰り出していたのがMF真田蓮司だった。

 2年時からチームの心臓として欠かせない存在だった真田は、選手権決勝でも左サイドからの折り返しを右足ダイレクトで振り抜いてゴール右上隅に突き刺し、国立に詰めかけた5万868人の大観衆をどよめかせた。

 あれから2か月半が過ぎ、関西大に進んだ真田は、赤いユニホームから紫色のユニホームを身に纏ってピッチに立っていた。天皇杯大学予選B代表決定戦の関西大対大阪体育大の一戦で、彼は両チームの中の唯一の新1年生としてスタメンに名を連ねた。

 真田のポジションは本職のボランチではなく、左サイドハーフ。「初めてやります」と試合後に笑顔を見せたが、そんなことも感じさせないほど、堂々たるプレーぶりを見せていた。

 ポゼッションにおいて、左サイドのボールの落ち着きどころとして積極的にボールを受けると、抜群のキープ力とパスセンスで攻撃のリズムを作り出す。チームもCB木邨優人のゴールで先制をすると、完全に試合のペースを掴んでゴールラッシュ。6-1の大勝を手にした。

「関大はボールを主導的に持つというスタイル。左サイドハーフというポジションでしたが、チームとして求められていることは分かっているつもりなので、チームがいかに上手くいくかを考えながらプレーしました」
 
 ボランチとして常に自分たちの戦術と意図を把握したうえで、相手の状況を見てプレーを選択できる賢い選手だった。だからこそ、ポジションが変わっても冷静に自分がやるべきことを把握し、持っている技術を発揮することができる。新1年生ながらスタメンに抜擢される理由も頷けるくらい、ステージが変わったなかでも落ち着いて順応していた。

「サイドハーフをやってみて感じたのは、走る量が多いですし、守備もコースの切り方など難しさを感じました。でも、僕の中で大学に入ってからの目標は、より高い位置で攻撃も守備もできる選手になることなので、こうして新しい経験をできることは大きなプラスだと思います」

 改めて大学サッカーでなすべきことを聞いてみると、希望に満ちた表情でこう口にした。

「東山高において僕らの代は『強い世代』と言われていて、福重(良一)監督も『この代で日本一を取る』とチーム立ち上げの時からずっと言っていた。選手権決勝に行けたことは本当に嬉しかったですが、監督と僕らが本気で目ざしていた日本一を取れなかったことは悔しかった。だからこそ、大学サッカーでそれを掴み取りたいので、本気で目ざしていきたいと思います」

 真田は今、関西大を一時離れ、日本高校選抜の攻守の要としてデュッセルドルフ国際ユースサッカー大会に出場している。海外の強豪クラブを相手に貴重な経験を積んでから大学に戻り、悲願達成を果たして、その先にあるプロの世界へ進むべく。選手権のヒーローは希望に満ちた新たな門出を迎えた。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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