「ジーコが嘆いた『恐れ』はもう微塵もない」“王国”で生放送された日本代表戦をブラジル人記者はどう見た?「カタールW杯はまぐれではなかった」

2023年04月05日 リカルド・セティオン

ウルグアイ対日本は最も興味深い試合だったという分析

ウルグアイ戦は1-1のドローに終わった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 日本代表は3月の代表ウィークを、ウルグアイと1-1、コロンビアと1-2の1分け1敗で終えた。
 
 初戦の相手だったウルグアイは、まるっきり新しくなったチームだった。カタール・ワールドカップで屈辱的なグループリーグ敗退を喫し、刷新を図った。もう年齢の高いくたびれたチームではない。スピードがあって危険で攻撃陣を擁し、なによりW杯の苦い経験から、リベンジを果たそうとするモチベーションの高いチームだった。

 同じ暫定監督が率いるチームでもブラジルとは大違いだ。日本はそんなチームに引き分け、いや勝つことも不可能ではなかった。

 カタールでドイツとスペインを破った日本は今や世界でも注目のチームだ。この試合は少なくとも50か国で中継され、ブラジルでもなんと地上波で生放送された(コロンビア戦はケーブルやストリーミング配信だった)

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 試合はそのままカタールでの日本の好印象を思い出させてくれた。それにホームの熱いサポーター、新生ウルグアイの闘志が加わり、FIFAのテクニカルデパートメントの分析によると、今回行われた親善試合の中でも(ヨーロッパのEURO予選は含まない)ウルグアイ対日本は最も興味深い試合だったという分析が出ている。

 ウルグアイのゴールをマークしたフェデリコ・バルベルデは世界トップレベルのMFと言われているが、その彼も全力だった。シュートがゴールバーを叩いてもあきらめず、リバウンドのボールを懸命に追いかけた。親善試合ではなかなか見られない必死さだ。彼らは本気で勝ちに来ていた。

 昔、日本代表は国外のチームと対戦する時、いつもピッチに恐れを持って立っていた。元指揮官のジーコもいつもそれを嘆いていた。しかし今の選手たちにはみじんもそれが見えない。カタールW杯でドイツやスペイン相手に勝てたのも、それが大きかったろう。そして大舞台で強豪を破ったことは、何か大事なことをチームに与えた。自信、そして戦い方。すでに強かった日本というケーキの上にイチゴを乗せてくれた。

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