Jクラブのスカウトも熱視線。市船のエース郡司璃来の燃え上がる向上心と闘争心「絶対に高卒プロになりたい」

2023年03月31日 安藤隆人

ゴールを奪えるポイントに最短距離で侵入

評価がうなぎ登りの郡司。エースとしての自覚と責任を持って、チームを力強く引っ張っていく。写真:安藤隆人

 市立船橋の絶対的なエースストライカー・郡司璃来の評価が今、かなりの高まりを見せている。1年生から名門でレギュラーを張り、昨年は高宇洋、鈴木唯人ら歴代の名だたる先輩たちが背負ってきたエースナンバー10を託され、攻撃の中心としてプレーした。

「正直、自分の課題を突きつけられた1年間でした」

 期待と責任を背負い、戦ったが、チームは思うように結果を出せなかった。インターハイこそ出場するが、2回戦で丸岡に敗れると、プレミアリーグEASTでは低迷し、残留争いに巻き込まれた。

 そして選手権予選では決勝まで駒を進めるも、チームは大幅なメンバー変更を迫られ、急造チームに近い状態で郡司も気を吐いたが、勝利には届かなかった。

 それでも選手権予選決勝直後に行なわれたプレミアEASTの横浜F・マリノス戦では、郡司の1ゴールもあり、5-2で大勝すると、そこからチームは3試合を1勝2分の負けなしで乗り切って、自動降格圏内から抜け出した。愛媛FC U-18とのプレーオフでは決勝弾をマークして、チームを残留に導いた。
 
「昨年を振り返ると、僕のプレーは調子が良い時は問題なくできるのですが、上手くいかなくなるとイライラしてしまって、感情的になってしまう。そうなると冷静さが欠けて、自分のプレーができなくなる。昨年の終盤はそれよりも、危機感や『やらなきゃ』という気持ちが強く持てたので、それを1年間継続できるようにしたい」

 持てる能力に疑いの余地はない。フィジカルが強く、相手に囲まれていても身体を使ってブロックしながらボールを収めることができる。しかもボールタッチもステップワークも細かく、足もとにボールを収めてからの高速ターンやドリブル、ポストプレーもある。

 フリーランニングの質も高く、ゴールを奪えるポイントに最短距離で侵入したり、相手DFの死角に入ってから飛び出したりと、ゴールへのアプローチも非常に多彩だ。

 課題を挙げるとすれば、本人が口にしたようなメンタルの部分だ。チームの状況が上手くいかなくなっても、プレー精度が落ちるわけではない。1人で打開できる力を持っているし、マイボールにできる球際の強さや寄せの速さ、ボール奪取能力がある。チームが苦しい時にこそ輝くのが強みでもあるが、勝ちたい思いが強すぎるあまり、時には激しいプレーをしてしまうことがある。

 課題ではあるが、経験を積んだり、自分と向き合い続けたりすることで、きちんとコントロールできるようになれば相当な選手になるだろう。例えば原口元気や堂安律、中村敬斗らも10代の頃はコントロールがきかず、独りよがりなプレーをしてしまうことはあった。

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