“鉄板ポジション”の3人+鎌田大地に求められるタスク。新たなトライのなかでチームが円滑に回るように

2023年03月27日 元川悦子

新しいやり方にトライすれば混乱が生じる

新スタイルを取り入れるなかで、遠藤らボランチ陣の役割がキーとなる。写真:サッカーダイジェスト/JMPA代表撮影

 第二次森保ジャパンの活動も、3月28日のコロンビア戦を残すのみとなった。同24日の初陣ウルグアイ戦では、名波浩コーチ主導で、サイドバックがインサイドに絞ってビルドアップするという新スタイルにチャレンジ。新たな一歩を踏み出した印象だ。

「そんなに全部、上手くいかないと思ってやっているので、トライすることが大事」とキャプテンマークを巻く遠藤航(シュツットガルト)が言うように、選手たちは戦い方の幅を増やそうとする試みをポジティブに捉えている様子だった。

 ただ、ボランチ陣にしてみれば、SBが中に絞ってくることで中央に人が多くなり、ポジションが重なりやすくなる。守田英正(スポルティング)も迷いを吐露している。

「人数を増やしてビルドアップしているにもかかわらず、後ろ向きにボールを持つ時間が多くて、ゴールキーパーを経由して蹴ってしまうシーンが多かった。僕自身も役割そのものが探り探りになってしまい、ボールロストもしたし、チャンスといっても決定機を作ったわけじゃない。もっと攻撃に厚みをもたらしたかったけど、自分の役割でちょっと整理がつかなかった部分もあった」

 今回の陣容の中で、ボランチは昨年のカタール・ワールドカップの主力3人が残っている「鉄板ポジション」のはず。お互いの特徴を十分把握しているし、連係面も問題ない。

 それでも、新しいやり方にトライしようとすると混乱が生じる。メンバーが大きく変わった守備陣や、先発とサブが揃って入れ替わった攻撃陣などはなおさらだろう。
 
 だからこそ、遠藤、守田、田中碧(デュッセルドルフ)の3人と、トップ下とボランチ兼任の鎌田大地(フランクフルト)が新たな組み立てを確実に理解し、周囲に指示を出して動かせるようになっていく必要がある。

 今年の代表活動は今回の3月シリーズを皮切りに、6月、9月、10月に予定されており、11月から2026年の北中米W杯アジア2次予選が始まることを考えると、戦術浸透の時間は限られている。オフ・ザ・ピッチでも話し合いを重ね、コロンビア戦で目に見える前進を示さないと先々が険しくなりかねない。

 実際、過去の代表を見ても、アルベルト・ザッケローニ監督時代は4バックと3バックの併用にトライしたが、指揮官は途中で断念している。第一次森保ジャパンも本番では4枚から3枚へのシフトが成功したが、4年間の過程では失敗もあった。

 代表9年目に突入した遠藤は一つひとつの活動の重要性をよく分かっているはずで、ゆえに、すり合わせをもっと積極的に推し進めていくことが大事だ。

【PHOTO】日本代表のウルグアイ戦出場17選手&監督の採点・寸評。MOMは途中出場で流れを変えた…

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