ブライトン指揮官に直撃! なぜ三笘薫は活躍できている? 元ファンタジスタの慧眼「いつでも実力を発揮できる準備はできていた」

2023年03月21日 垣内一之

三笘の才能を活かすために戦術的な修正を加える

プレミア初参戦の三笘は、今やビッグクラブが注視する存在に。指揮官は「最低でも10ゴールは決めないと」と期待を寄せる。(C)Getty Images

 ブライトン三笘薫の快進撃が止まらない。

 プレミアリーグ初参戦となった今季、開幕からしばらくベンチスタートが続いたものの、初先発した昨年10月29日のチェルシー戦でアシストをマークしてチームの4-1勝利に貢献すると、続くウォルバーハンプトン戦で待望のプレミア初ゴールをマーク。その後も得意のドリブルを駆使して得点&アシストを量産し、今やビッグクラブも注目する存在に成長するなど、まさに欧州を席巻している。

 その活躍の裏に、9月18日にチェルシーに引き抜かれたグレアム・ポッター監督の後任として新指揮官に就任した、イタリア人のロベルト・デ・ゼルビ監督の存在があることは、三笘のブレイクとデ・ゼルビ監督の就任時期が重なったことでも、明らかだろう。

 ではなぜ、三笘はデ・ゼルビ監督のもとで主軸に成長できたのか。先日、デ・ゼルビ監督をインタビューする機会があったので、疑問を直接ぶつけてみた。すると、前任者(ポッター)へのリスペクトもあったのだろうか、まずはこう答えた。

「三笘は、ポッターが監督を続けていても、レギュラーになったと思うよ」

 当然、その可能性はあっただろう。とはいえ、その後に続けたコメントを聞けば、デ・ゼルビ監督が三笘を高く評価し、その才能を活かすためにチームに戦術的な修正を加えたことは、間違いない事実だと分かる。
 
「就任して数日で、三笘はトッププレーヤーになるだろうと思ったよ。プレミアリーグへの適応に時間がかかったとは思っていない。彼にはプレーする時間、そして彼の能力を発揮できる状況に置いてあげる必要があっただけ。チーム全体としてプレーしやすい、ドリブルしやすいボールを配球する。そうすれば、いつでも実力を発揮できる準備はできていたよ」

 実際、デ・ゼルビ監督は就任して数試合を指揮したあとに、3バックから4バックに変更。さらに戦術面でも、チーム全体に三笘も力を発揮できるような大きな変化を加えている。

「よりボールを握るサッカーに変え、後ろから理詰めでビルドアップできるように、相手のプレッシャーを回避してプレーできるように変更した。それから相手が何人でプレスに来ているか計算できるように、局面での数的有利を瞬時に把握できるように手を加えた。そして試合中にリズムを変えられるように指導した」

 まさに今のブライトンが展開するサッカーそのものだ。

 デ・ゼルビ監督は指揮官として頭角を現したサッスオーロでも、ポジションで優位性を獲得することにより、試合を有利に進めるポジショナルプレーでセリエAを席巻。当時バイエルン・ミュンヘンを指揮していたジョゼップ・グアルディオラ監督の元に赴き、指導を受けたこともあり、「イタリア版グアルディオラ」と称されていたこともあった。
 

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