「1点取って引かないのがサンガ」“5バック”への変更で追加点を狙う京都スタイル。曺貴裁監督は森保ジャパンを引き合いに出し…

2023年03月16日 野口一郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

「並びとか位置よりも、メンタリティの方が、選手にとっては大事」

京都の指揮官や選手が語ったのは攻撃への意識の高さだ。写真:滝川敏之

 京都サンガF.C.は、J1第4節で湘南ベルマーレに2-0で快勝。55分に木下康介、74分には山田楓喜がゴールを決めた。

 先制点を挙げた後、曺貴裁監督は67分にイヨハ理ヘンリーを投入して、システムを4バックから5バックへ変更した。

 1点リードで残り約20分の場面で、ディフェンスの枚数を増やす。だが、指揮官は"逃げ切り"の作戦ではないと語った。

「昨年途中から、なぜそうするかの理屈を選手に説明している。詳しいことは言えないが、守り切るためではなくて、攻めるための形。それを選手たちが共有するのが大事」

 そして、カタール・ワールドカップの日本代表を引き合いに出した。森保一監督はドイツ戦の後半とスペイン戦に3バックを採用して、チームを複数得点での勝利に導いた。曺監督は、同学年の指揮官がとった作戦をこう推測する。

「日本代表が(ドイツ戦で)後半からシステムを変えた。森保がとった戦術も、もしかしたら、選手にそう浸透していたかもしれない。今は、並びとか位置よりも、メンタリティをどっちに持って行くかの方が、選手にとっては大事だと思う。並びや配置は、あくまでもそれを活かすためのもの」
 
 逃げ切りの意識が無かった点について、選手も同調。この試合でアンカーを務めたキャプテンの川﨑颯太は、システム変更の効果を語った。

「むしろ、5バックにしたからこそ、後ろに枚数をかけるというよりは、(68分から左ウイングバックにポジション変更した)小野瀬(康介)選手たちに、プレッシャーかけられる。(ボールを)取り切れなくても、自分たちのやりたい守備で、相手ボールでも相手がやりたい攻撃はさせていなかったと思う。受け身よりは、(相手にボールを)回させているけどやらせない。ちゃんとカウンターも狙っている」

 また、先制点をあげた木下は「1点を取って引かないのがサンガだと思う」として、自身の持ち味であるハイプレスについても、攻撃的な意識が表れていると語る。

「あまり細かく考えずに目の前の敵に向かっていくようにと、曺さんに言われている。守備の様で攻めているじゃないけど。こっちが動いて、相手がそれで横にパスを出すイメージでやっているので、それも攻撃の一部だと思ってやれている」

 開幕節から2連敗を喫したものの、2連勝で星を五分に戻した。先制点をアシストした白井康介は、チーム状況について「自分たちの原点に戻る。ちゃんと戻って良い形で勝っている。雰囲気も良いし、このまま続けていきたい」と手応えを口にした。

 8位に浮上した京都。次戦は18日、敵地で横浜FCと相まみえる。

取材・文●野口一郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

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