新生森保ジャパンが船出。メンバー発表から見えた狙いは? 代表監督から「優勝」という目標が明確に出たのは初めてだ

2023年03月15日 河治良幸

「キャプテンはまだ全く決めていない」

森保監督が3月シリーズを戦う日本代表について語った。写真:滝川敏之

 日本代表の森保一監督は、3月に行なわれるウルグアイ戦とコロンビア戦に臨む26人のメンバーを発表した。

 カタールW杯後、最初の代表活動となる今回。これまで代表チームを支えてきた吉田麻也、長友佑都、酒井宏樹などが外れた一方で、バングーナガンデ佳史扶(以後、カシーフ)、半田陸、角田涼太朗、中村敬斗を初招集するなど、カタールW杯組をベースとしながら、フレッシュな顔ぶれも目立つ選考となった。

 パリ五輪世代のカシーフと半田に関しては、同時期に大岩剛監督が率いるU-22日本代表(16日にメンバー発表予定)の欧州遠征もあり、そちらの候補でもあったことは想定されるが、山本昌邦ナショナルチームダイレクターは「今回のA代表と五輪代表では大岩さんと森保さんで頻繁にコミュニケーションを取っている」と説明する。

 森保監督も「パリ五輪は大事だけど、A代表を目ざしてほしい」と語る。予定より開催が1年延期となった東京五輪では冨安健洋、久保建英、堂安律、板倉滉などA代表の経験者が主力の大半を担ったが、そのスピードを加速して、若手選手がパリ五輪を待たずにA代表に食い込んでいくことは大岩監督も望むところだろう。
【PHOTO】ウルグアイ・コロンビアとの親善試合に挑む日本代表招集メンバーを一挙紹介!
 特にサイドバックは32歳の酒井や36歳の長友が長年引っ張ってきており、今回は招集外となったカタールW杯組の山根視来も29歳と若くはない。彼らは豊富な経験があり、良いコンディションを維持していれば、必要な時にいつでも力になれる選手たちだが、23歳の橋岡大樹や22歳の菅原由勢など、若い選手に経験を積んでもらって、アジアカップやアジア予選で戦うメンバーを見極めていくことになるだろう。

 当面の目標は来年1月のアジアカップになるが、あくまで世界で戦う基準を持ちながら、難しい環境で勝ち切ることを求めていくはず。前回のサイクルから森保監督は世界基準ということを口にはしていたが、カタールW杯を経験したことで、もはや想像やイメージではなく具体的な指標として描けているのは大きな前進だ。

「キャプテンはまだ全く決めていない。色々考えているけど、すぐ決めなくてもいい」

 そう語る森保監督は吉田、長友、酒井といった選手がいないチームで、選手たちが発信するリーダーシップの部分も見ていきたいのだろう。順当なら30歳の遠藤航が適任とも考えられるが、活動期間や試合数の限られる代表はクラブチーム以上に、試合に出る選手がキャプテンを担うほうがチームは回りやすい。その意味ではカタールW杯を経験したことで、より代表での責任感が強まった26歳の鎌田大地、CBの主力に定着した同じく26歳の板倉といった主力候補の中から選ばれてもおかしくはない。
 

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