【J1昇格プレーオフの是非を問う①】興行面での成果はあるが、6位の昇格は無理がある

2015年11月29日 西部謙司

長丁場のJ2を〝もたせる〞役割も果たしている。

12年の大分(写真)と14年の山形は6位での参戦。13年の徳島は4位と、プレーオフの最上位である3位は昇格してない。 写真:徳原隆元

 J1昇格プレーオフは今年で4回目になる。過去3回のプレーオフを勝ち抜いて昇格したのは大分、徳島、山形だが、すべて昇格後1年で降格している。

 大分と山形は6位でのプレーオフ参戦だった。徳島は4位。つまり、プレーオフの最上位である3位は昇格してないのだ。ちなみに12、13年の3位は京都、14年は千葉だった。

 年間順位が下でも勝てるところが一発勝負であるプレーオフの醍醐味だが、順位の低いチームが昇格してもJ1では勝てない現状がある。そのために、J1のレベルを上げるには、プレーオフよりも年間順位に従って3位を昇格させたほうが良いという見方もある。

 J1強化の観点で言えば、J2で6位のチームに上がってこられても競争力は上がらないのでプレーオフは不要と言える。ただ、仮にJ2で3位のチームが自動昇格したとしても、それほどJ1強化に影響があるとは思えない。そもそもプレーオフはJ1の強化のためにやっているわけではない。

 プレーオフはビジネスとしてやっているのだ。J1が今年から導入したチャンピオンシップがビジネスなのと同じである。

 興行としてのプレーオフは成功を収めている。12年の決勝では2万7433人を集め、13年も2万3266人と2万人を超えた。国立競技場のキャパシティからすれば少ない感じもするが、J2の試合に2万人を超す観客はまず集まらないのだから、興行としては大成功なのだ。さらに味の素スタジアムで行なわれた14年の千葉×山形の試合には3万5504人の観衆が詰めかけた。

 シーズン終盤までファンの興味を持続させる効果もある。プレーオフがなければ昇格も降格も関係のないチームがかなり出てくるはずだ。プレーオフがあるから、10位前後のチームも終盤まで昇格の夢を持ち続けることができる。長丁場のJ2を〝もたせる〞役割もプレーオフは果たしているわけだ。

次ページ3、4位のみのにするか、5位までにとどめておくのが無難だ。

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