【J1昇格プレーオフの是非を問う②】無視できない経営メリット。今後は入れ替え戦の導入も検討すべきか

2015年11月29日 清水英斗

3位だろうが6位だろうが大差はない。

4位でプレーオフに参戦し、四国勢初のJ1昇格を果たした徳島も、翌年にはJ2に逆戻りした。 写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 現行制度のメリットは、なによりJ2の活性化にある。シーズン6位にまで昇格のチャンスが与えられるのだから、リーグ終盤の消化試合はかなり減る。

 また、J1への可能性が広がれば、J2クラブは自治体やスポンサーと未来を見据えた話ができる。例えば、6位以内に食い込んだ時のためにJ1ライセンスを満たす環境を整えましょう、といった具合に。経営面で、これはかなり大きい。

 一方のデメリットは、年間を通じて成績が安定しなかった5位や6位のチームが、瞬間的な強さで昇格できてしまう点にある。当然ながら、翌シーズンのJ1はトーナメントではなく年間の勝点を競うのだから、一発勝負のプレーオフはJ1を戦うためのベストチームを送り込む方法とは言えない。

 経営メリットと、競技デメリット。どちらを重視するかでプレーオフに対する立場は決まるが、私は前者を重視してプレーオフを継続すべきだと考える。

 もちろん、上記のデメリットについて年間6位で昇格した大分や山形の例を挙げ、あっけなくJ2に逆戻りすることを問題視する向きはあるだろう。

 だが、2009年にJ1とJ2の昇降格がそれぞれ3チームに設定されて以来、J2で3位のチームが翌シーズンのJ1残留を果たしたケースは一度もない。つまり、そもそもJ2を3位以下で昇格すること自体が力不足の証明であり、3位だろうが6位だろうが大差はないのだ。

 逆に、J2王者として昇格したクラブは09年の仙台に始まり、柏、FC東京、甲府、G大阪、湘南と、すべて今もJ1で戦い続けている。結局、J1に定着するためにはJ2首位か、それに肉薄する2位の実力が必須なのだ。

 ならば競技的なデメリットには目を瞑り、J2クラブが経営面で力をつけるチャンスを広げたほうが建設的。これが私の基本的な考え方だ。

次ページJ2・3位以下の苦戦が必至ならば、J1クラブが残留するチャンスを広げてもいい。

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