J1昇格を狙う仙台が、昇格組いわきに完封負け。突きつけられた成熟度の違い。ブレずに確固たるスタイルを構築したい

2023年03月13日 小林健志

布陣変更も実らず、攻守にチグハグなまま

就任2年目の伊藤監督。仙台に“立ち戻れるスタイル”を落とし込めるか。写真:鈴木颯太朗

[J2リーグ第4節]仙台0-1いわき/3月12日/ユアテックスタジアム仙台

 東日本大震災から12年が経ち、復興応援試合と銘打たれたJ2第4節の仙台対いわき。それぞれ震災被災地のクラブであるということだけでなく、東北で山形と共に最初にできたJクラブで、長年J1でも戦ってきた仙台と、昨季Jリーグに参入し、1年でJ2に昇格した、いわきとの対戦ということで注目が集まった。

 序盤にペースを握ったのは、いわき。球際での競り合い、走力、セカンドボールの回収で優位に立つと、20分、MF山下優人のコーナーキックのこぼれ球をMF嵯峨理久が逆サイドに折り返す。

 ここでフリーになっていたのはDF江川慶城。「嵯峨選手に良い形でボールが入って、相手選手より先に良いポジションを取れました。変に欲を出さずにファーサイドのポストに向かってボールを入れることで"事故"が起こる、もしくはそのまま入ったらラッキーだと思って流し込んだら、自分の気持ちが乗ってゴールに入ってくれました」と、浮き球のシュートがゴール右隅に吸い込まれ、いわきが先制に成功した。

 その後、仙台はダブルボランチに変更するなど、立ち位置を変えてバランスを修正する。前半終了間際のDF内田裕斗のクロスからMF郷家友太がヘディングシュートを放つが、惜しくも枠を捉えず、いわきの1点リードで前半を終える。

 同点、逆転を狙う仙台は後半開始から4-3-3の布陣に変えて、より攻撃的に試合を進めようとするが、逆にバランスを崩し、いわき得意のクロス攻撃を浴びるなど、不安定さを見せた。
 
 途中交代で入ったMFオナイウ情滋らも決定機を作るが、いわきは身体を張った守備を見せ続け、ゴールを割らせない。終盤の仙台の連続セットプレーも、いわきは全員でしのぎ、タイムアップ。いわきが1-0のスコアでJ2昇格後初勝利、仙台は今季初黒星を喫した。

 昨季のJ3で圧倒的な力を見せていた時の原点に立ち返り、走力と球際の強さを活かし、この試合にかける気持ちを見せた、いわきに対し、仙台は伊藤彰監督による度重なるフォーメーション変更も実らず、攻守にチグハグなままだった。

 伊藤監督は「前半、いわきさんがロングボールを蹴ってくることを想定していたが、セカンドボール勝負のところやファーストディフェンスで回収し、サイドチェンジがもう少しできていたら。特に最初の15分はバトルを想定していたが、もう少しボールを握る時間を長くするのが課題で、失点は最後のところを抑えきれませんでした」と振り返る。

 そして「後半、我々は攻撃的な布陣を取りましたが、最後ネットを揺らすにはもっと大胆にペナルティエリアに入らないといけない」と、攻撃であと一歩迫力を出せなかったことを課題に挙げた。

【PHOTO】サポーターが創り出す圧巻の光景で選手を後押し!Jリーグコレオグラフィー特集!

次ページ我慢しながら一丸となって戦えるか

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事