10番を背負う男の矜持。“無得点”の北野颯太はこのままで終わらない。命運かけるヨルダン戦、貪欲に結果を求める【U-20代表】

2023年03月12日 松尾祐希

なりふり構わずに、がむしゃらな姿勢で

ヨルダン戦での活躍を期す北野。写真:松尾祐希

 求めているのは結果のみ――。高校時代から将来を嘱望されてきた10番が、大一番での活躍を虎視眈々と狙っている。

 U-20アジアカップのオープニングマッチとなった中国戦で熊田直紀(FC東京)が2ゴールを奪い、サウジアラビアとの3戦目では松木玖生(FC東京)が鮮やかな2発で勝利に導いた。決めるべき選手が決定的な仕事を果たしているなか、沈黙を続けている選手がいる。それが10番の北野颯太(C大阪)だ。

 今大会はここまでの3試合全てに先発で出場。しかし、パフォーマンスは決して満足いくものではなく、悔しさを噛み締める時間のほうが長かった。

 中国戦は4-2-3-1のトップ下で先発出場したものの、守備に比重を置いてきた相手に苦戦。10人でがっちり守りを固めてきたため、なかなかボールを受けるスペースを見つけられなかった。前半途中から4-1-4-1に変更して松木と2シャドーの位置に入ったが、状況は大きく変わらない。

「中を固められるとボールを受けられなかった」と反省の弁を述べた通り、ドリブルで局面を打開する場面やフィニッシュに持ち込むシーンはごくわずかだった。

 続くキルギス戦は左サイドハーフでプレーし、外から中にカットインしてシュートに持ち込むシーンが見られ、72分には松木に鮮やかなスルーパスを通してPK奪取の起点となった。ゴールこそ奪えなかったが、初戦と比較すれば調子が上向いていることがうかがえた。

 しかし、3戦目はまたしても沈黙。先制点の場面ではきっかけを作った一方で、73分に交代するまでは相手のマークに手を焼いてしまう。シュートへの意識は高まっていたが、消化不良のままピッチを去り、悔しさが残る結果となった。
 
 3月12日に迎えるヨルダンとの準々決勝は、勝てば今年5月下旬に開催されるU-20ワールドカップ出場権が得られる重要な一戦。北野は「決めないといけないという焦りは正直ある」と言うが、「今までの相手の中では一番ボールを動かしてきて、しっかり戦ってくるイメージ。逆にそっちのほうが助かる」とも話しており、前向きな姿勢を崩していない。

「大会を通じてシュートが少ないので、サウジ戦は意識してシュートを打つようにした。ちょっとずつ掴んではきているので、あとはチャンスで決めるだけ」とは北野の言葉だ。

 本来、ドリブル突破や思い切りの良いシュートが持ち味で、スマートなプレーも得意。しかし、アジアの戦いでは泥臭く戦う必要がある。もっと貪欲にゴールを狙い、なりふり構わずにがむしゃらな姿勢でプレーしても良いはずだ。

 10番の責任を背負う男の目は死んでいない。「技術以上のものが求められる試合になる」(北野)。このままで終わるつもりはない。自分の価値を証明するためにも、結果で期待に応えてみせる。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

【動画】松木玖生がサウジ戦で圧巻の2ゴール!熊田直紀が中国戦で決めた2得点も!
 

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