「自分たち自身を信じて戦わないと」鎌田大地が残した力強い言葉。フランクフルトはまだCLを諦めていない【現地発】

2023年03月05日 中野吉之伴

完成度の高さはヨーロッパで一、二を争うほど

長谷部(左)と鎌田を擁するフランクフルトはCL敗退の危機に追い込まれている。(C)Getty Images

 フランクフルトはここ数年間、ヨーロッパカップ戦において印象的な姿を見せている。2018-19シーズンにヨーロッパリーグ(EL)ではじめて準決勝進出を果たすと、昨シーズンにはついに優勝。チャンピオンズリーグ(CL)初挑戦となった今季はグループリーグを見事に突破し、決勝トーナメントへたどり着いた。

 スタジアムが作り出す雰囲気は格別だ。ホームだけではなく、アウェーでも何万人ものファンが大挙して押し寄せる。一人ひとりの声が大きく、力強い。チームを鼓舞し、背中をいつも支えてきたファンのサポートがそこにある。

 ファンはチームに勇敢なプレーを求めている。どれだけ強大な相手でも、自分の力を限界まで引き出して戦う姿に心からの拍手を送る。オリバー・グラスナー監督が掲げるサッカーもそうだ。ナポリとのファーストレグの前日記者会見で次のように話していた。

「我々の戦い方は変わらない。相手がダルムシュタットでも、ブレーメンでも、ナポリでも一緒だ。自分たちのサッカーをピッチにもたらしたい。大事なのはいま、自分たちが非常に高みで安定していることだ。選手はトップコンディションで、非常にいい。ベストを発揮できれば、どんな相手にもチャンスがある。ナポリに対して大きなリスペクトの思いを持っているが、フォーカスは自分達にある」
 
 その言葉通り、試合開始から最大限のインテンシティで走り出した。相手陣内で猛烈に追い込みをかけていく。複数選手で一気にプレスをかけて、奪ったら素早く攻撃へと転じていく。チャンスも作り出した。

 だが、ナポリは強豪だ。コンスタントにヨーロッパの舞台で好成績を残しているし、今季イタリアのセリエAで独走状態に入っている。その完成度の高さは、いまヨーロッパで一、二を争うほどだ。

 そんな相手にホームで0-2と負けたのだから、セカンドレグがアウェーだということを考えても、流石に苦しい。だが、フランクフルトはここから立ち上がるチームだ。

 スポーツディレクターのマルクス・クレッシュは試合直後のミックスゾーンでの取材対応で、顔色一つ変えずに冷静に試合を振り返った後、自信たっぷりにこう話していた。

「本当にいいチーム相手に試合をした。相手にゲームの流れをコントロールされるのは、ある意味予想されていたこと。むしろ、チームにはまだ成長のポテンシャルがあるということが見られた試合でもあった。自分たちはこれまでにもこうした状況を何度も乗り越えてきたんだ」
 
【動画】「うますぎやろ」「天才か」とファン驚愕!エリア外から右足ダイレクトで決めた鎌田の衝撃ゴラッソ

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