バルサ仕込みの“速さ”も武器。唯一の海外組DF髙橋仁胡は、クレバーなプレーと高精度の左足キックで違いを生み出す【U-20代表】

2023年03月05日 松尾祐希

昨年6月に初めて日の丸を背負う

今回のメンバーで唯一の海外組となった髙橋。スペインで研鑽を積み、指揮官も納得の成長を遂げている。写真:松尾祐希

 U-20アジアカップを戦うU-20日本代表は、グループステージ第1節・中国戦の勝利(2-1)から一夜明けた3月4日、6日に行なわれるキルギス戦に向けて調整を始めた。

 午後に予定されていた練習を前倒しし、午前10時半からトレーニングがスタート。グラウンドには23人全員が顔を見せ、中国戦で先発した11人と、後半開始からピッチに立ったMF永長鷹虎はリカバリーメニューを消化。残りの11人は、軽いパス回しとシュート練習を行ない、最後はミニゲームで締め括った。

 誰もが高いモチベーションで調整を行なうなか、年下ながら臆さずにプレーしていたのが、今大会のメンバーで唯一の海外組となる左SBの髙橋仁胡だ。日本人の母とアルゼンチン人の父を持ち、生まれも育ちもスペイン。2019年からバルセロナでプレーする逸材は、スペインの世代別代表に選出された経験もあり、異国の地で研鑽を積んできた。

 昨年6月のモーリス・レベロトーナメント(旧・トゥーロン国際大会)で初めて日の丸を背負い、一世代上のU-19代表でプレー。日本語の理解にやや難があったものの、母から学んだ関西弁ですぐに仲間と打ち解けるなど、オープンなマインドで輪に入って好プレーを見せた。
 
 同年11月のスペイン遠征ではU-18代表に招集され、冨樫剛一監督にアピール。評価を高めると、今回のU-20アジア杯でメンバーに選出された。指揮官は抜擢した理由をこう話す。

「ニコは(6月の)フランス遠征でこのチームに参加していて、U-18でもスペイン遠征で私たちのもとで活動しています。そのなかでフランスの時から比べると、11月のU-18の遠征ではものすごく成長していると感じたんです。攻守において、一番戦術的に素早く頭を回転させながら、身体を反応させることができていた。これだったら自分たちのチームの力に、一番年下だけど十分なれると判断して、ニコを選んだんです」

 6月以降の成長について、本人も「手応えはある」と話す。その背景には、やはりバルセロナで揉まれた経験がある。今季はフベニールAでスタートしたものの、同じポジションに一学年上の選手が2人いた関係で、途中からは昨季まで席を置いていたフベニールBに戻った。だが、フベニールAでプレーした時間は決して無駄ではなく、ひとつ上のステージを味わえた経験が今の髙橋にとって大きい。

【動画】高い打点のヘッドと確実な右足ショット。中国戦で熊田直紀が圧巻の2ゴール!
 

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