三笘薫のように――慶應進学の塩貝健人が描くビジョン。文武両道を続け、選手としても、大学生としても土台を固めて次のステージに挑む

2023年03月03日 安藤隆人

デンチャレには日本高校選抜の一員として参加

慶應義塾大に進学する塩貝。デンチャレでは際立つパフォーマンスを披露した。写真:安藤隆人

 岡山学芸館の初優勝で幕を閉じた昨年度の全国高校サッカー選手権大会。プロ入りが決まっている選手以外で、一番のインパクトを与えた選手と言えば、國學院久我山高のエースストライカー塩貝健人ではないか。

 表情から滲み出る負けん気の強さと、ボールを持ったら縦に積極的に仕掛け、力強いドリブルと強烈なシュートでゴールをこじ開ける。

 一見、猪突猛進なストライカーのように映るが、塩貝は頭脳明晰で周りの状況を把握しながら、相手の逆を突くコース取りをして、強引に仕掛けても突破できる可能性が低いと感じれば、すぐにパスに切り替えたり、スペースを開けるドリブルに切り替えたりと、的確な状況判断をすることができる。

 このギャップこそが彼の最大の魅力と言っていいだろう。「もっと早く動いていれば」と、とあるJクラブのスカウトが口にしたように、選手権予選を通じてその名が轟き始めた頃には、学業優秀な塩貝はすでに慶應義塾大への進学を決めており、Jクラブが獲得に動きたくても、それが叶わなかった逸材になっていた。

 選手権では3回戦で岡山学芸館の堅守を崩せず、PK戦の末に敗れたが、全国の舞台で塩貝が見せた推進力と技術的、戦術的な柔軟性は多くの関係者を唸らせた。
 
 塩貝は今、茨城県で開催されているデンソーカップチャレンジ茨城大会で、日本高校選抜の一員として参加している。

 相手はこれから進む大学サッカーのトップレベルの選手たちばかり。その相手に日本高校選抜は苦戦を強いられるが、第1戦の関東選抜A戦、第3戦のプレーオフ選抜戦にスタメン出場した塩貝は、関東選抜A戦でチームのオープニングゴールを叩き込んだ。プレーオフ選抜戦でも相手を引きずるようなドリブルを見せたかと思えば、ワンタッチでシンプルに叩いて前のスペースに飛び込んだり、サイドに流れて起点を作ったりと、相手の守備の歪みを作り出した。

 チームはグループリーグで3連敗に終わり、4日の最終日は7・8位決定戦に回ることになったが、日本高校選抜における塩貝の存在感は大きかった。

「ここは大学サッカーのトップレベルが集結している場所。この機会を絶対に無駄にしてはいけないと思っています。自分の試合がない時も他のFWを見ながら学ぶなど、良いところをどんどん吸収していきたいと思っています」
 

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