【2015総括】名古屋編|助っ人勢が機能せず攻守に波の多いシーズンに。小倉新監督の就任で一から出直し

2015年11月26日 今井雄一朗

成績を加味すれば及第点に落ち着く。

MVPは複数のポジションでの起用に応えた竹内。ユーティリティ性を活かし、負傷者続出によるチームの崩壊を食い止めた (C)SOCCER DIGEST

 J1第2ステージは広島が優勝。年間勝点でも広島が浦和を抑えて頂点に立ちレギュラーシーズンは幕を閉じた。今季の34試合をJ1全18チームはいかに戦ったのか? 各クラブの担当記者が、11月22日で今季最終戦を迎えた2015シーズンを振り返り総括する。

――◆――◆――
 
名古屋グランパス
年間成績:9位 勝点:46 13勝7分14敗 44得点・48失点
第1ステージ成績:9位 勝点:22 6勝4分7敗 18得点・18失点
第2ステージ成績:10位 勝点:24 7勝3分7敗 26得点・30失点
 
【2015シーズンの出来を点数で表わすと?】
60
 
 チーム成績は第1ステージ9位、第2ステージ10位で総合10位。だが第1ステージには開幕4戦勝ちなしで最下位を経験し、かと思えば第2ステージにはG大阪、浦和などを連破し2位にまで浮上するなど浮き沈みの激しいシーズンを過ごした。
 
 間違いなく強さを秘める陣容にも関わらず、度重なる負傷者により戦力が安定しなかったことがその最たる要因。特にレアンドロ・ドミンゲスとダニルソンというチームの核となるべき外国籍選手が1年をほぼ棒に振ったこと、そして司令塔の田口も負傷で年間11試合の出場にとどまったことが大きく響いた。
 
 しかし、そのなかで永井が10得点・9アシストを記録するほか、チーム事情によりウイングバックをこなすなど奮戦。川又も夏の5試合連続ゴールを含む9得点、2年目の矢田もリーグ戦全試合出場を果たすなど成長した。
 
 見逃してはならないのがベテラン勢の活躍だ。通算600試合出場の金字塔を打ち立てた39歳の楢崎はリーグ戦フル出場。34歳の闘莉王は、終盤はFWとしてもチームを引っ張った。32歳の竹内、31歳の小川は複数ポジションをこなしてチームの穴を埋め続け、31歳の矢野は右SBとして初めて1年を戦い抜いた。
 
 そうしたやりくりのなかで選手たちが粘り強く戦ったことは高く評価したいが、年間9位という成績を加味すれば及第点といったところに落ち着く。来季は小倉新監督の就任が決定しており、一からの出直しになるだろう。
 
【今季のチームMVPは?】
竹内 彬(DF
 
 あえてこの選手を選びたい。CBのバックアップと目され、自らもそのポジションを受け入れるつもりで帰ってきた男は、終わってみれば第1ステージの1試合を除くリーグ戦全試合に出場。3バックの左、中央、右。4バックの右SBとCB。そしてボランチでの起用に高水準のプレーで応え、負傷者続出によるチームの崩壊を食い止めてみせた。
 
取材・文:今井雄一朗(スポーツライター)
 
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事