【2015総括】FC東京編|勝率95パーセントの必勝パターンがありながら、勝負どころの試合を落とし…。決してポジティブなシーズンではなかった。

2015年11月26日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

DFが最大のチャンスメーカーという事実が、ある意味、攻撃陣の体たらくを物語る。

アグレッシブなオーバーラップから、左足のクロスとFKで好機を演出した太田。14アシストは、今季のJ1最多の数字だ。 (C)SOCCER DIGEST

 J1第2ステージは広島が優勝。年間勝点でも広島が浦和を抑えて頂点に立ちレギュラーシーズンは幕を閉じた。今季の34試合をJ1全18チームはいかに戦ったのか? 各クラブの担当記者が、11月22日で今季最終戦を迎えた2015シーズンを振り返り総括する。
 
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FC東京
年間成績:4位 勝点:63 19勝6分9敗 45得点・33失点
第1ステージ成績:2位 勝点:35 11勝2分4敗 24得点・18失点
第2ステージ成績:6位 勝点:28 8勝4分5敗 21得点・15失点
 
【2015シーズンの出来を点数で表わすと?】
60
 
 今季のJ1で先制した時の勝率は、およそ"95パーセント"(17勝0分1敗)。唯一の逆転負けは第1ステージ・6節の広島戦で、他の17試合では先行逃げ切りを完遂させた。「まずはゼロに抑える」(森重)スタンスで相手の持ち味を消し、カウンターかセットプレーでゴールを奪うのが必勝パターンだった。
 
 だが一方で、アンカーの高橋が「打ち合いは得意ではない」と話していたように、今季は追いかける展開になるとなかなか挽回できなかった。実際、先行された12試合は2勝2分8敗と分が悪く、攻撃の質とバリエーションの両方に課題を残した。
 
 結果的に、第1ステージ後にマインツへ移籍した武藤の穴は埋め切れず、後釜候補と目されたN・バーンズとサンダサも期待外れに終わった。鳥栖を攻め切れず、最後の最後でチャンピオンシップの出場権を逃したホーム最終戦の低調なパフォーマンスが、今季のFC東京を象徴していた。
 
 手堅いサッカーでクラブ史上最多勝点を更新したと言っても、勝負どころの試合をかなり落とした(第1ステージ11節・鹿島戦、同12節・浦和戦、第2ステージ14節・湘南戦、同15節・浦和戦、同17節・鳥栖戦)のだから、決してポジティブなシーズンではないだろう。鳥栖戦直後の風景は悲劇そのもので、そうした印象点も踏まえれば及第点に届くか届かないかの「60点」が妥当か。
 
 アタッカー、MFのなかでは、前田の3アシストが最多。DFの太田が最大のチャンスメーカー(14アシスト)という事実が、ある意味、攻撃陣の体たらくを物語っている。
 
 
【今季のチームMVPは?】
太田宏介(DF
 
 第1ステージは武藤とホットラインを築き、その若きエースが抜けた第2ステージでもアグレッシブなオーバーラップから、左足のクロスとFKで好機を演出。昨季から4つも上回る14アシストで、J1アシスト王に見事輝き進化していることを証明した。川崎戦(第1ステージ9節)の同点弾をはじめ、チームを救うゴールも複数あった。
 
文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
 
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