【三浦泰年の情熱地泰】56歳の誕生日をポルトガルで迎えた弟・カズ。思う存分、現役を愉しんでほしい!

2023年02月28日 三浦泰年

絶対に考えられない事をサッカー人生の中で何度も繰り返して来ているカズに感動

56歳のいまも現役として活躍するカズ。今シーズンはポルトガルで躍動する姿が見たい。(C) SOCCER DIGEST

 56歳の誕生日をポルトガルで迎えた。弟のカズだ。

 この年齢で現役選手として56歳を迎えているとは……。

 Jリーグ元年、カズが真っ赤なタキシードで登場した頃に、誰が想像できただろうか?

 1年前は鈴鹿で迎えた誕生日を、今年はポルトガルという日本から行きにくい遠い国で迎える。リーグはポルトガル2部リーグ、チームはオリベイレンセ。

 27日早朝の情報番組で元気そうなカズの顔が見れてホッとした。

「1試合でも勝利に貢献したい」というカズの勇気ある言葉にJ1リーグとも劣らない欧州のビッククラブへ選手を送り込むカテゴリーであるポルトガル2部を選んだカズをサッカー人として、兄として誇り思う。
 
 毎年、26日から僕の誕生日までの数か月間。年子であり1歳違い。学年で1つしか違わない兄弟な訳だから、56歳でサッカーのプロで現役選手であるという事の凄さは誰よりも分かっているつもりだ。

 年末の人間ドックの結果が心配になるのが、この年齢の普通の神経であり、選手であるという事は普通に全ての数値が正常値であり、またピッチで勝負ができる権利を獲得できたカラダなのである。

 それだけでも頭が下がる。

 プラス、毎日のチームが行う練習と練習のための準備を鈴鹿からまた新天地ポルトガルで継続する。

 それはどんなパワーがカズに宿っているのか? 弟でありながら尊敬、リスペクトでしかない。

 カズがブラジルでプロデビューした日、僕はパルメイラスのスタジアムでカズの出番をスタンドで待った。

 残り何分かジュニオール(トップチームの下のカテゴリー)のカズがプロデビュー。

 同じサッカー留学生としてプロを目指した僕は絶対にこの地には立てないと思っていたことを10代のカズは実現させた。

 その時も凄い!と感動したが、今回の選択も同じくらいの大きな決断をしてみせ、絶対に考えられない事をサッカー人生の中で何度も繰り返して来ているカズに感動している。

 今までしっかりした自身の未来に繋がる決断をその都度、その都度、繰り返し、目標に向かって走り続ける。

 そのカズの見つけた道(未知)に、たくさんのカズを支える人たちが共感してカズの元へ集まる。

 昨年は鈴鹿へたくさんのカズを見たい人たちが集まったが、JFLにおけるアウェーチームの観客動員記録を塗り替えることになったのは、対戦するチームのカズを目的にたくさんの人が足を運んだからだ。

 そして今年はポルトガルへもたくさんの人がカズの勇姿を確認に行くのであろうし、そのカズの決断がどうであったかをカズが証明する。
 

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