【韓国メディアの視点】市民クラブのほとんどが赤字状態。打開策を探るべく『韓日中サッカー産業フォーラム』を開催

2015年11月24日 慎武宏

市民クラブを取り巻く現状は厳しい。いくつかのクラブは身売りの話も。

安山市と安山警察庁プロ蹴球団が『韓中日サッカー産業フォーラム』を開催。アカデミーダイレクターのイム・ホチョル氏は、「市民クラブはどうあるべきか」を協議するためだと教えてくれた。

 11月18日、韓国で『2015年韓中日サッカー産業フォーラム』なるものが開催された。

 主催したのは、韓国・京畿道の西部に位置する人口70万の都市・安山市と、安山市をホームタウンにしてKリーグ・チャレンジ(2部リーグ)を戦う安山警察庁プロ蹴球団だ。

 韓国では成人男子に約2年の兵役が義務づけられており、兵役の種類には警察庁勤務もある。つまり、警察庁蹴球団は兵役中の選手たちの競技力維持と技術力向上のためのチームで、キム・ドゥヒョン、ヨム・ギフンら韓国代表経験者たちもかつて在籍した。現在は横浜FCなどでJリーグ経験もあるペ・スンジンが安山警察庁蹴球団でプレーしている。

 その安山市と安山警察庁プロ蹴球団がなぜ、『韓中日サッカー産業フォーラム』を開いたのか。フォーラムを企画した安山警察庁プロ蹴球団のアカデミーダイレクターのイム・ホチョル氏が教えてくれた。

「安山市と警察庁プロ蹴球団は2014年に2年間のホームタウン協定を締結し、来年まで契約を延長しましたが、安山市は将来的に独自の市民クラブの立ち上げも検討している。そこで市民クラブはどうあるべきか、新たに立ち上げるにはどんな課題かあるかなどを協議するために、安山警察庁プロ蹴球団のパク・コンウォン事務局長が中心となって企画しました」

 韓国では2002年ワールドカップを前後して、仁川ユナイテッド、大邱FC、光州FCなどワールドカップの試合会場となった都市はもちろん、江原FC、慶南FCなどの市民クラブが続々と誕生したが、その財政事情はどこも苦しい。

 地域の政治家たちの選挙公約として立ち上がったケースが多い韓国の市民クラブは、母体企業や有力なスポンサーを持たず、市主導で市民や地元企業らの出資を募って運営されているが、ほとんどのクラブが深刻な赤字状態にある。

 選手はもちろんクラブ職員たちの月給さえも先送りすることも多く、いくつかの市民クラブは身売りの話も絶えない。首長がサッカーを政治利用したり圧力をかけたり、クラブ運営が行政からの天下り人事に委ねられることも少なくない。

次ページ関係者たちの体験談と生の声は、大きな刺激と参考になったはずだ。

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