【鹿島】復活した常勝軍団に足りないあと一歩。リーグタイトル奪還の鍵は「GKの補強」

2015年11月25日 田中 滋

薄れつつあった勝者のメンタリティは、着実に若い選手たちに根付いた。

ナビスコカップこそ優勝したが、リーグ戦では年間5位に。勝者のメンタリティは根付きつつあるが、広島や浦和といったライバルたちとの明確な違いもある。 (C)SOCCER DIGEST

 ナビスコカップでこそ見事な戦いぶりで17冠目を獲得したものの、今季もリーグタイトルの奪還はならなかった。第1ステージは8位に沈み、第2ステージも広島に振り切られて2位。年間順位でも5位に終わり、チャンピオンシップ出場を果たせなかった。

 鹿島が6年連続でリーグチャンピオンを逃したのは、01年から06年までに続いて2度目。もし、来季も逃すことになれば、チームワースト記録を更新することになる。そのため、強化責任者である鈴木満常務取締役は「絶対に獲らなければいけない」と、来季のタイトル奪還に向けて強い決意を示す。

 監督交代などの紆余曲折はあったものの、ここ数年で進めてきた世代交代は完了しつつある。今後訪れるであろう小笠原満男という偉大な存在が抜けた後の対処は懸念材料のひとつだが、このところ薄れつつあった勝者のメンタリティは着実に若い選手たちに根付いた。

 良い試合をしながら勝ち切れなかったG大阪や浦和というライバルたちにも、今後は臆することなく挑んでいけるだろう。ナビスコカップの制覇と、シーズンを公式戦3連勝で締めくくったことは、選手に大きな自信を与えたはずだ。

 ただ、このところ対戦成績の良い広島を含め、チャンピオンシップに出場した3チームと鹿島を比べた時、ライバルたちのほうが強みを見せている箇所がある。それは、GKの安定感だ。

 今季、トニーニョ・セレーゾ前監督がリーグ開幕戦で起用したのは曽ヶ端準ではなく佐藤昭大だった。同監督は「特別なことではない。曽ヶ端も小笠原ももう36歳の選手。ACLの連戦のタフさを考えると20代、30代前半ではないから身体がついてこない。1年間、できるだけ怪我なくチームを動かすことが私の役割」と説明していた。

 シーズン開幕前に獲得に動いた鳥栖の林彰洋との契約がまとまらず、補強ポイントだったGKに新戦力を獲得できなかったことから、試合毎にパフォーマンスにばらつきが見られるようになった曽ヶ端になるべく疲労がたまらないよう配慮していると匂わせた。

次ページ浦和やG大阪のように、代表クラスのGKを獲得できれば…。

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