セルティックで屈辱の出番なし…井手口陽介が生まれ故郷の福岡で再起をかける「絶対もう1回代表に入ってW杯に出たい」

2023年02月13日 中倉一志

「もう1回這い上がる」

長谷部監督は「ボールを奪う能力が非常に高い」と井手口のプレーに期待を寄せる。写真:中倉一志

「このクラブのために自分ができることをすべて出し、覚悟を持って戦う」

 それが、アビスパ福岡への期限付き移籍が発表された時の第一声だった。

 井手口陽介は2度の海外挑戦でいずれも結果を出せず。セルティックでは移籍間もない1月にカップ戦でデビューを果たしたものの、ケガなどの影響もあって、ここ1年間は出場機会を得られなかった。

「ずっと試合をしてプレーしたいという気持ちがあった」と自身の心境を口にする。ここが自分のリスタートの場所。そんな想いが第一声から伝わってきた。

 プロサッカー選手を夢見て小学校卒業を機に大阪へ。ガンバ大阪の下部組織で実力を磨き、20歳でリオデジャネイロオリンピックを戦い、21歳でA代表デビューを飾るなど、若くして成功を手に入れた井手口の能力の高さは誰もが認めるところだが、サッカー選手は試合に出て自分を表現してこそ。再び輝きを見せるために、生まれ故郷の福岡に戻って再出発するのは何かの縁かもしれない。
 
 長谷部茂利監督が「彼のゲームの中で持っている力、攻守のエネルギー、アグレッシブなプレー、得点も取れる。何よりもボールを奪う能力が非常に高い。そういうところを期待している」と口にするように、ボール奪取力に加え、ラストパスや自らゴールを狙える力は、中盤の構成力を上げて、得点力不足という課題の解消を図るアビスパが求めていた力でもある。

 井手口にとって必要な場所。そしてアビスパにとって必要な力。互いの想いが一致しての移籍だった。

 だが、過去の実績で勝負ができるほどJリーグの世界は甘くはない。それは本人が一番理解しているはずだ。「もう1回這い上がるという意味で、試合には出続けないといけない。その中でも毎試合、毎試合ハイパフォーマンスをしていかないといけない」と口にするのは決意の表れ。

 カタール・ワールドカップを見て「すごく刺激をもらえた。絶対もう1回代表に入って、あの舞台に立ちたいという想いがすごく芽生えた」と口にするが、まずは自分らしさを取り戻し、さらにプレーの幅を広げることが、その想いの実現に繋がる。
 

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