今度は自分がバケモノに――カタールで飛躍を誓った田中碧の現在地「得点以外は問題ない」「守田君はスポルティングで出たけど…」【現地発】

2023年02月13日 元川悦子

「個対個」の意識が強いドイツ2部ではなかなか連係で崩せない

ドイツ2部で奮闘する田中。カタールW杯による中断明けから公式戦4試合連続で先発中だ。(C)Getty Images

 カタール・ワールドカップ(W杯)でドイツ、スペインの両重要ゲームに先発し、後者では値千金の決勝弾を挙げた田中碧(デュッセルドルフ)。しかしながら、クロアチア戦は延長からの途中出場で、PK戦敗退の瞬間を味わった。

「ここにはもうバケモノしかいない。今度は自分がバケモノになってここに戻ってきたい。そして優勝したいなと思います」

 飛躍を誓い、高みを追い求めていく覚悟を見せてから2か月。彼は1月27日のマクデブルク戦からドイツ・ブンデスリーガ2部の後半戦をスタートさせている。その初戦は3-2で勝利したものの、続くパーダーボルン戦は1-4の大敗。2月8日のDFBポカールラウンド16、ニュルンベルク戦も1点をリードしながら終了間際に追いつかれ、まさかのPK負けを喫してしまった。

 波に乗り切れないなか、迎えた2月12日のザントハウゼン戦。4戦連続先発の田中は、4-4-2のボランチでプレー。ポジション的にはトップ下に近い位置まで上がり、攻撃姿勢を強く押し出そうとした。

「ポジショニングは自由。相方のボランチ(マルセル・ソボトカ)が守備の強い選手なんで、自分は少し前というか。8番みたいな感じでやってます」
 
 その分、ゴールに絡むシーンを数多く作りたかったが、この日のデュッセルドルフはサイド攻撃一辺倒で、中央の日本代表MFのところになかなかボールが来ない。28分には数少ないボールタッチからミドルシュートを打ちに行くも、GKの正面に飛んでしまった。

 後半開始早々にも、前線へ飛び出す絶好の場面があったのだが、味方からパスが出てこず、決定的チャンスを生かすことができなかった。川崎フロンターレ時代、あるいは日本代表だったら、確実にシュートまで行っているような場面でも、「個対個」の意識が強いドイツ2部ではなかなか連係で崩せないのが実情のようだ。

 結局、田中は攻守両面でタフに戦ったが、連戦の影響を考慮されたのか、79分に交代。その後、味方が2ゴールを挙げて2-0で勝ち切り、6位をキープしたが、彼自身はやや不完全燃焼感の残るゲームだったのではないだろうか。

「今日の前半はボールを触る回数自体が多くなかった。そのなかで限られたチャンスを決めなきゃいけなかった。普段はもっとボールが入ってくるんで、そこで結果を残すことが大事。やっぱりゴールとアシストのところですね。それ以外は悪くないので」

【動画】絶妙なポジション取りから右足ボレー炸裂!デュッセルドルフ田中が奥川の前で奪った今季唯一のゴール

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