名前の読み方が異なるダブル「颯太」。横浜戦でインパクトを残した左サイドのルーキーコンビに驚愕した【甲府】

2023年02月11日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「普段から攻撃や守備のことを話していてお互いが分かり合っている」

甲府の水野(写真左)と三浦(写真右)が横浜戦で好パフォーマンスを披露した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[FUJIFILM SUPER CUP]横浜 2-1 甲府/2月11日/国立競技場

 ヴァンフォーレ甲府の大卒ルーキーコンビに驚愕した。三浦颯太と水野颯太は、富士フイルムスーパーカップの横浜戦で確かなインパクトを残した。

 名前は同じ「颯太」でも読み方は異なり、三浦は「ソウタ」で水野は「ハヤタ」。前者は左SB、後者は左サイドハーフで先発した。「キャンプから手応えが良かった」(水野)ダブル「颯太」が左サイドで縦に並び、抜群のコンビネーションを見せた。

 水野がインサイドにポジションを取れば、すかさず三浦がサイド際をオーバーラップするなど、流動的なポジショニングで相手を翻弄。7分にはふたりの連係から左サイドを崩し、三浦が際どいクロスでチャンスを演出した。

 水野によれば「普段から僕が内側にポジションを取ったら、ソウタは高い位置でという話もしている」ようで、三浦も「普段から攻撃や守備のことを話していて今はサポートに行かないでひとりでやらせたほうがいいとか、お互いが分かり合っている」と同調する。イメージが共有されているのは確かで、ともに相性の良さを感じているのだろう。
 
 かたや個々のパフォーマンスに着目しても、大卒ルーキーコンビは十分なポテンシャルを示していた。

 水野は27分、GKからのロングフィードを華麗なアウトサイドタッチで収め、そこから足裏のタッチで相手を翻弄し、自慢のテクニックを見せつけた。また、「スピードは通用したのかな」と語るとおり、左サイド深いエリアまで攻め込むシーンもあった。

 三浦は19分に果敢なオーバーラップで相手の背後を突けば、22分には対峙した敵にボールが入った瞬間、すかさず間合いを詰めてボール奪取。インターセプトからカウンターにつなげたシーンもあり、「ボールの移動中、ボールを奪える距離感を相手と駆け引きするのは意識していて、今日は得意の距離感で敵にアタックできた」と胸を張った。

 三浦は日本体育大在学中の昨季、特別指定選手としてJデビューを果たしており、水野は全日本大学選手権チャンピオンの桐蔭横浜大で10番を背負ったアタッカーだから、個々の能力が高いのは知っていた。ただ、昨季J1王者の横浜を相手にしてもそのスキルを発揮して、さらにはお互いの連係が相乗効果となるのには驚いた。

 興味深かったのは試合後の表情だった。ふたりともどこか浮かない様子で、三浦は「成長のためには課題にも向き合わないと」と語る。水野には「本来ならもっとできる自信があった?」と振れば「はい、そうなんですよね」と口にした。

 横浜戦で好パフォーマンスを見せながらも、さらに高いプレー基準を目指すダブル「颯太」。間違いなく、一見の価値がある大卒ルーキーコンビである。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)

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