「休みは必要ない。思考を止めない」カタール後に見る浅野拓磨の変貌ぶり。より脅威を与えられる存在へと絶賛進化中【現地発】

2023年02月09日 元川悦子

森保監督が見守るなか、多彩な仕事ぶりを披露

今季で欧州7年目の浅野。貪欲に自らの成長を求め続けている。(C)Getty Images

 浅野拓磨が所属するボーフムは2月8日、DFBポカールのラウンド16でドルトムントと対戦。ブンデスリーガでは目下、ギリギリ残留圏内の15位と下位争いを強いられているボーフムにとって、イングランド代表FWベリンガムやドイツ代表DFズーレら錚々たる面々を揃えるドルトムントは難敵に他ならなかった。

 とはいえ、リーグ戦とは違ってカップ戦は一発勝負。前日7日にもドイツ2部で首位のダルムシュタットが、フランクフルトをあと一歩のところまで追い詰めている。欧州視察中の日本代表・森保一監督が見守るなか、4-2-3-1の右ウイングで先発した浅野も積極的な姿勢を前面に押し出そうと闘志を燃やしていたはずだ。

 実際、ボーフムは立ち上がりからアグレッシブにプレスをかけ、高い位置で奪ってカウンターを仕掛ける形を何度か作る。浅野は右に陣取りながら、対面にいる左SBリエルソンに激しく寄せに行き、相手のビルドアップを混乱に陥れる。
 
 さらに攻撃面では、一番のストロングである裏を狙うプレーに加え、中に絞って起点を作ったり、1トップのホフマンとポジションを変えながら流動的に攻めを構築するなど、非常に多彩な仕事ぶりを披露。日本代表のイメージと異なる姿を印象づけた。

 こうしたなか、20分には鋭い動き出しからフンメルスとズーレが守る相手守備陣の背後に抜け出し、右後方に位置していたホフマンの決定機を演出。さらに32分には右に開いたホフマンからの折り返しに反応。あと一歩でゴールという惜しいチャンスを作った。

「カタール・ワールドカップまでの4年半に、自分がやってきたことが正解だったというのは胸を張って言えますけど、結果が全ての世界でそれは通用しない。少し休んで見方を変えることも1つの仕事だと僕らはよく言われますけど、自分に休みは必要ない。思考を止めることは絶対にない。ここからもっと足りないものを探しながらやっていくしかないと思います」と、クロアチアに敗れた翌日に熱っぽく語った浅野らしく、「何とかして自分自身を進化させるんだ」という強いパッションが一挙手一投足に色濃く出ていた。
 

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