電撃移籍の真相。原口元気はなぜ2位ウニオンから残留争いのクラブに新天地を求めたのか? ブンデス初陣は敗戦も「楽しい」と充実感【現地発】

2023年02月06日 元川悦子

スタメンで右インサイドハーフに抜擢

シュツットガルトで新たなスタートを切った原口。(C)Getty Images

「全体的にマーケットが重い」と言われた今冬の移籍市場で、数少ない日本人選手のトランスファーの1人となったのが、ウニオン・ベルリンからシュツットガルトへ赴いた原口元気だ。

 ご存じの通り、すでに1月31日のパーダーボルン戦(DFBポカール)の後半頭から出場し、新天地デビューを飾っているが、ブンデスリーガでは2月5日のブレーメン戦で初登場した原口。スタメンで右インサイドハーフに抜擢された。

 左インサイドハーフには遠藤航、4バックの左CBに伊藤洋輝が陣取る形で、原口にとってはやりやすい環境。中断明けのブンデスリーガで2分1敗と未勝利のチームに何とか勝点3をもたらしたかった。

 その気迫は前面に出ていた。背番号17をつける原口は序盤から前への推進力を披露。遠藤や右ワイドのフアン・ホセ・ペレア・メンドーサらと流動的に動いて攻撃チャンスを作ろうとアクションを起こす。
 
 ボールを奪ったらシンプルに前線へ供給するという約束事のなかでやっていたウニオンでは、ボールを持って仕掛けたり、チャンスメイクする機会は限られていたが、シュツットガルトでは全く違う。それを求めて彼は残留危機に瀕するこのチームにわざわざやってきたのだ。

 とはいえ、20分過ぎにエースFWセール・ギラシが負傷交代。これでシュツットガルトの攻撃の迫力が削がれてしまう。逆にブレーメンはドイツ代表FWニクラス・フュルクルクをターゲットにしつつチャンスをうかがってくる。彼と対峙した伊藤は必死に食らいつき、何とかビッグチャンスを阻止。36分にゴールを割られたと思われたシーンも相手のファウルで取り消され、前半はスコアレスで折り返した。

 シュツットガルトとしては耐えながらワンチャンスをモノにする展開に持ち込みたかったが、逆にそれをされてしまう。ブレーメンの2得点はどちらもGKからのロングボールを競って落とし、フュルクルクからのラストパスをイェンス・ステーイとマービン・ドゥクシュが決め切った。結局、シュツットガルトは0-2で敗戦。原口がいきなり救世主になることはできなかった。
 

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