【番記者推奨!広島のブレイク候補】指揮官も大きな期待を寄せる棚田遼。気持ちの強さ、結果への貪欲さが飛躍のカギに

2023年02月05日 寺田弘幸

有馬コーチは成長に目を細めながら注文も

攻守両面でタフに戦えるようになってきた棚田。スキッベ監督は「今シーズンは計算に入れる」とコメント。写真:寺田弘幸

 来るべき2023年シーズン、リーグを盛り上げるのはいったい誰か。新たなスターは生まれるのか、未来を切り拓くニューヒーローは出現するのか。番記者推奨のブレイク候補、今回はサンフレッチェ広島のFW棚田遼だ。

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 昨季に就任したミヒャエル・スキッベ監督のもとで、広島は多くの若い選手がブレイクスルーを遂げた。その代表格となった満田誠は広島ユースから流通経済大へ進学して戻ってきてブレイクし、同い年の川村拓夢は広島ユースからトップ昇格した後に愛媛で3年間をプレーし、レンタルバックした昨季にブレイクした。

 育成型クラブとしての自負を持って広島はそれぞれの選手に合った成長のルートを構築しているなかで、今年は昨季にトップ昇格した19歳のFW棚田遼にブレイクの期待が高まっている。

 昨季にルヴァンカップを制し、7年ぶりのタイトルを獲得したあと、足立修強化部長は語気を強めて語った。「来季は棚田に期待している。この1年、スキッベ監督の練習で本当に伸びている」。スキッベ監督自身も棚田に期待を寄せていた。「リョウはトレーニングで良い印象を残している。彼は来年に試合に絡んでくることが増える」。

 年が明けて新シーズンへの準備が始まっても、棚田の評価は高まる一方。スキッベ監督は「トルコでも宮崎でも自分のパフォーマンスを見せてくれている。今シーズンは計算に入れていこうと考えている」とコメントしており、キレのあるドリブルが最大の武器の19歳は「トルコキャンプでも結果を残せていますし、すごく調子が良いです。宮崎キャンプでもしっかりアピールして開幕スタメンを狙っていきたいと思っています」と威勢よく語った。
 
 昨季よりもスピードがアップしたアタッカーは、徐々に攻守両面でタフに戦えるようになってきて、ドリブル以外にもできることも着実に増やしている。2月4日に行なわれたFC東京とのトレーニングマッチでも得点チャンスを創出。二度ほど迎えた決定機はシュートがポストを叩いてゴールネットは揺らせなかったが、棚田は2週間後に迫った開幕を待ち望み、「今年は本当に飛躍の年にしたい。昨年のマコ君みたいな感じでブレイクしたいです」と意気込みを口にした。

 自他ともに期待が高まっている状態で、棚田は2年目のシーズンに臨んでいくが、昨年から熱心に棚田の個別指導を行なってきた有馬賢二コーチは、成長に目を細めながら注文も付けていた。

「ベースの部分を最低限のところまで上げることと、良いところを出すことをやってきたけど、できることは増えたし、ボールを受けて反転して出ていけるところは本当に良い。ちょっとずつサッカー理解もできてきていると思うから、今のままじゃもったいない。もっと欲を持って、もっと点の取れる選手になりたいと思ってやらないと」

 能力はある。首脳陣もそのことを認めていて、棚田本人は自信に満ちている。飛躍の準備は整っているように見えるが、壁にぶつかることがあるのも間違いなく、棚田はその壁を突破していく気持ちの強さを持っているのか。貪欲に結果にこだわって、一つひとつのプレーを突き詰めていけるかが、ブレイクスルーのカギを握ることになりそうだ。

取材・文●寺田弘幸(フリーライター)

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