【日本代表】岡崎のPK失敗が暗示する組織的なツメの甘さ。主張しなければ、ディテールは詰められない

2015年11月19日 清水英斗

そもそも、なぜ岡崎がPKを蹴ったのか?

岡崎がPKを蹴ったのは、2011年アジアカップ準決勝、韓国とのPK戦以来、4年ぶりだった。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 カンボジア戦の47分、岡崎慎司がペナルティスポットへ向かった時は、驚いた。
 
 この侍ストライカーがPKを蹴るのは、2011年アジアカップ準決勝、韓国とのPK戦以来、4年ぶりだ。当時はふたり目のキッカーとして、ゴール左上の隅へ思い切り蹴り込んだが、今回はグラウンダーで狙おうとして失敗。コースがあまりにも甘く、ほとんど入る可能性を感じないPKになってしまった。

【PHOTOギャラリー】カンボジア 0-2 日本

 低調なパフォーマンスに終始していた試合を一気に好転させ、プレッシャーから開放される可能性を秘めたPKだったが、モノにすることはできず。ちょっと嫌な空気になったが、その4分後、オウンゴールで先制できたのは幸運だった。
 
 失敗を懸命に取り返そうとする、岡崎の姿勢には胸を打たれるものがある。相手チームがプレミアリーグのクラブだろうと、カンボジアだろうと、常に全力を尽くそうとする姿勢を、心からリスペクトする。
 
 だが、それでも、決めるべきPKであったことは間違いない。そもそも、なぜ岡崎が蹴るのか? 異論があるのは、そこだ。
 
 結果論でもあるので難しいところだが、基本的にPKは、セットプレーのキッカーが務めるべきだと考えている。同じシュートでも、インプレーのそれと、セットプレーのそれは、まったく質が違うからだ。
 
 軸足をどこに踏み込むのか。上半身をどのくらい倒すのか。身体をどこへ向けるのか。足のどの面に当てるのか。フォロースルーはどうするのか。
 
 キックフォームを決めるのは、インプレー中に関しては、ボールである。ボールの勢い、角度、高さなど、目の前を動くボールに合わせて、蹴りたい方向へ蹴るためのキックフォームを、"リアクションで"作る。それがサッカーにおける通常の技術だ。
 

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