伊代表監督マンチーニが明かす、逝去した盟友ヴィアッリとの“最後の会話”。「見舞いに行った私の方が、勇気づけられた」

2023年01月22日 サッカーダイジェストWeb編集部

「最高のコンディションで会いたい」

58歳の若さで逝去したヴィアッリ(左)について語ったマンチーニ(右)。(C)Getty Images

 1月6日に、ジャンルカ・ヴィアッリが58歳という若さで亡くなった事実は、イタリアサッカー界に大きな衝撃を与えた。

 イタリアの三大スポーツ紙のひとつ、『ガゼッタ・デッロ・スポルロ』は29ページにわたってヴィアッリの特集を組み、元チームメイトや対戦相手、教え子などがSNSで次々に追悼の意を表わした。その数の多さが、いかに愛されていた人物だったかを物語る。

 だが、彼の"最高の相棒"であったロベルト・マンチーニはそれらに「いいね」をするだけで、当初は何も発信しなかった。

 ヴィアッリとマンチーニの絆は深い。サンプドリアで8年以上共闘し、クラブ史上唯一のスクデットをもたらした。ヴィアッリはユベントス、マンチーニはラツィオへと移籍し、2人の道は分かれた。

 それが再び交わったのは、現役引退から何年もの歳月が経過した2019年。イタリア代表監督を務めるマンチーニに乞われ、ヴィアッリがアッズーリのチーム団長に就いた時だった。再びタッグを組んだ2人は、EURO2020で戴冠を果たし、選手時代に果たせなかった代表でのタイトルを手に入れた。

【画像】古巣チェルシーがヴィアッリに追悼のメッセージ
 そのマンチーニが先日、イタリア国営放送『RAI』の有名なトーク番組「ポルタ・ア・ポルタ(ドア・ツー・ドア)」に出演、心境を語った。

 彼が最後にヴィアッリと会ったのは昨年の12月29日、ロンドンの病院に行った時だという。その10日ぐらい前に見舞いに行くことを告げると、「最高のコンディションで会いたい」からとヴィアッリから待ったがかかったらしい。その時の様子を彼はこう語っている

「本当は彼に会うのが怖かった。でもルーカは私を昔と同じように迎えてくれた。冗談を飛ばし、明るく、前向きで、一緒に元チームメイトのアッティーロ・ロンバルドにも電話をして驚かせた。俺は落ち着いている、だから安心しろと言い、結局見舞いに行った私の方が、勇気づけられてしまった」

 感情を抑えた様子でマンチーニは淡々と語る。だが昨年、サンプドリアの唯一のスクデット(1990-1991シーズン)を記念して作られたドキュメンタリー映画「La bella stagione(最高に美しいシーズン)」のワンシーンがスタジオに流れると、目が潤んだ。

「青春の一番輝いていた10年を共に過ごした。始めは一緒に住んでいて、その後も近所に住んでいて、本当にいつも一緒だった」

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