【クラブW杯来日記念!短期集中連載】バルサ戦士の素顔――Vol.3 メッシ、ブラーボ、ムニル

2015年11月13日 山本美智子

メッシ「痛みに耐えて上り詰めた世界の頂」

天性のテクニックとスピードで違いを作る世界ナンバー1プレーヤー。近年のメッシはバルサで司令塔的な役割も担う。(C)Getty Images

  12月10日に開幕するクラブワールドカップで来日を果たす欧州王者バルセロナ。この言わずと知れたタレント軍団に所属する選手たちの、「素顔」に迫る短期集中連載だ。
 
 その第3回は世界ナンバー1プレーヤーのリオネル・メッシ、チリ人守護神のブラーボ、そしてモロッコ系スペイン人のムニル・エル・ハッタディだ。
 
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Lionel MESSI
リオネル・メッシ

背番号10/FW/アルゼンチン代表/1987年6月24日生まれ/170センチ・72キロ
 
 トップチームで公式戦デビューを果たした直後、当時17歳のリオネル・メッシを初めて取材した時のことは、いまだに脳裏に焼き付いている。
 
 ほとんどの質問には「イエス」か「ノー」でしか答えない口数の少ないシャイな少年は、小柄な身体ながら太腿だけがやたらに逞しく、全体のバランスがやや歪だった。
 
 よく知られているように、メッシは幼少の頃から成長障害を抱えていた。その治療費を負担するのを嫌がり、母国アルゼンチンのニューウェルやリーベルは契約を諦めた。その才能に惚れ込み、治療費負担を買って出たのはバルセロナだけだったのだ。
 
 13歳で海を渡ってスペインに渡ったメッシは、毎晩、寝しなに自分でホルモン注射の針を足に突き刺し続けた。
 
 文字通り痛みを伴う作業だったが、父親は「人にやってもらうのでは意味がない。本当にプロになりたいなら、自分で自分の身体をケアしろ」と、若き日のメッシを突き放したのだった。
 
 それでも一般と比べて成長が遅く、初取材時の17歳の時はまだ上半身が細かった。足だけデフォルメされたかのようなその肉体は、当時の私に強い印象を与えた。
 
 あれから10年――。上半身も逞しくなったメッシは、世界一のフットボーラーに相応しいフィジカルを手に入れた。
 
 いまだにインタビューは得意ではないが、きちんと応対できる余裕もできた。二児の父となり、人間的にも成長した印象だ。
 
 シャイで小柄だった少年は、少しずつ成熟して青年になった。そして、今日もサッカー史に名を刻み続けている。

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