【日本代表】今回も“守り倒し”そうなシンガポール。攻略に必要なのは「攻撃の幅」(本田)と「フィニッシュの質」(宇佐美)

2015年11月11日 増山直樹(サッカーダイジェスト)

「ちょっと幅を出せずにやったことが唯一の反省点」(本田)

前回の対戦では23本のシュートを浴びせながらノーゴールに終わった。本田は「幅を出せなかった」と振り返った。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 実に23本ものシュートを浴びせながら、終わってみればスコアレスドロー。試合直後のハリルホジッチ監督が「こんなゲームは見たことがない」と嘆き、今なお「まだ飲み込めていない」と語るシンガポールとの"リベンジマッチ"が明日に控えている。

【写真】シンガポール&カンボジア戦に臨む日本代表メンバー23人
 
 前回同様、シンガポールは自陣に多くの選手を割いて「ブロックを作ってくる」(槙野)のは明白。そこをどう崩し、ゴールを奪えるかが前回に引き続き最大のテーマとなる。
 
 指揮官はメンバー発表の場で「1戦目を繰り返してほしい」とチャンスは作れていることを強調した。同時に「サイドアタック」の重要性も示唆。つまりは、従来通りにパスをつなぎながら、時にSBを絡めてピッチを広く使う。そこにシンガポール攻略の糸口があると見ているのだろう。
 
 中央で手詰まりになればサイドから、サイドがダメなら真ん中に戻す――。そう言ってしまえば簡単だ。しかし、相手の陣形を観ながら全体の意識と判断を変えていくのは、それほどシンプルなことではない。
 
 本田は課題をこう捉えている。
 
「あの時は、ちょっと(攻撃に)幅を出せずにやったことが唯一の反省点だったかなと思います。相手のやり方を見てですけど、当日は幅を出すのか、出さなくても行けるのか。SBとの絡みとか、その辺を現場で判断したいなというふうに思います」
 
 香川もその意見に同調する。
 
「(攻撃の)幅を持つことはすごく大事ですし、そういう意味では両SB、両サイドハーフ、ウイング含めてポイントになる。そういう選手を上手く活かせるように、相手をしっかり揺さぶりながら、スペースがあった時には人数をかけてコンビネーションで崩せればいいのかなと思います」
 
 ただし、10月8日のシリア戦ではサイドに張るがあまり、選手間の距離が開き過ぎて逆に崩しが上手く行かなかった。実際、右サイドの本田が中央寄りにポジションを変えた後半に3ゴールが生まれている。
 
 結局は、試合の流れに応じて出方を調整するのは必須で、ケースバイケースで対応していくしかない。今回のシンガポールに象徴されるように、守備第一で試合に入る敵と対面する際は、特に攻撃面での臨機応変さが求められる。
 
 サイドアタックを意識するがあまり、攻撃のルートが相手ブロックの外側に偏ってしまえば、逆に崩しに流動性は生まれない。主導権を握っているはずなのに、攻撃させられているような展開に陥る――。それが考えられる最悪のケースだ。

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