逆に曲がった足首を見て「俺の高校サッカーが終わった」。だが心は折れずに完全復活した昌平CB津久井圭佑。最高の仲間たちと「笑って終わりたい」と願う【選手権】

2022年12月30日 松尾祐希

「選手権は優勝したいという想いは人一倍強い」

大怪我を克服して選手権に臨む津久井。“6年分”の想いを込めて日本一を目ざす。写真:松尾祐希

 太陽の光が燦々と照りつける真夏のインターハイ。大津との準々決勝で昌平のキャプテン、CB津久井圭佑(3年)はセットプレーで攻撃に加わり、ゴール前の密集地帯で競り合いに加わった。しかし――。

 着地した瞬間、右足に激痛が走った。そのまま途中交代を余儀なくされ、翌日の準決勝を欠場。松葉杖姿でベンチから仲間を鼓舞したが、チームは0-1で帝京に敗れた。表彰式では号泣し、ミックスゾーンでも目を真っ赤にして涙が止まらなかった。

 大会後に下された診断は、右足首の靭帯断裂と脱臼。全治は3か月だった。卒業後の進路も決まっておらず、選手権予選までに完全復調できるかは不透明という状況。そうしたなかで、9月に鹿島内定が発表されると、10月に戦列復帰。徐々にコンディションを上げて"津久井らしい"クレバーな守備と正確なビルドアップでチームの勝利に貢献してきた。

 舞台は整った。帰ってきた守備の大黒柱が高校3年間だけではなく、下部組織のラヴィーダでプレーした中学時代も含めた6年間の集大成となる冬のビックトーナメントでどんなプレーを見せるのか。その想いを訊いた。

――◆――◆――
 
――この4か月を振り返ると、本当にいろんなことがあったと思います。夏のインターハイで大怪我を負い、その直後に鹿島への加入が決まるなど、激動の日々でした。

「本当にそうですね。大きな怪我をした経験が今までなかったので、インターハイの準々決勝で負った右足首の靭帯断裂と脱臼は本当に悔しかった。インターハイで悔しさを味わったからこそ、選手権は優勝したいという想いは人一倍強いですね」

――怪我の瞬間を現地で見ていましたが、復帰までにかなりの時間を要する怪我にも思えました。全治はどれくらいだったのでしょうか?

「3か月と言われていました。僕も怪我した時は今季絶望ぐらいの感覚もあり、足首も逆に曲がってしまっていたんです。足をついた瞬間に変な感じがして、倒れ込んだ瞬間にパッて見たら、変な感じで曲がっていた。それを見て、俺の高校サッカーが終わったなと。なので、復帰までに時間がかかると思っていたので、意外に『早めに復帰できるんだ』というのはありましたね」

――インターハイで怪我を負って、そのまま病院へ直行しました。次の日の準決勝では松葉杖をついてベンチに入り、仲間に声をかけ続けていた姿が印象的です。ただ、試合には負けてしまい、涙が止まりませんでしたよね。

「帝京は、プリンスリーグ関東の前半戦で勝っていた相手。なので、より悔しさがありましたし、仲間に対しても申し訳ないという気持ちもありました。自分の代わりに試合に出ている選手も素晴らしいプレーヤーなので、『自分が出ていれば』とは言えないけど、『自分が試合に出て勝利に貢献できていればな……』という感情がありましたね」

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