部活動停止に大雪と不運に見舞われた徳島市立。初戦敗退の現実にも確かな“学び”を得た【選手権】

2022年12月30日 森田将義

後半に運動量が落ちて尚志に0-3の黒星

初戦を前に円陣を組む徳島市立イレブン。写真:浦正弘

[高校選手権1回戦]尚志 3-0 徳島市立/12月29日(木)/ニッパツ三ツ沢球技場

 選手権本大会でベスト8まで進んだのが、2019年度大会。当時の徳島市立は自陣で守備ブロックを固めて、カウンターからゴールを目ざす堅守速攻のチームだったが、さらなる進化を期して翌年からはより攻撃的なチーム作りを進めてきた。

 相手陣内での時間を増やすため、守備はなるべく高い位置でボールを奪いに行く。自分たちの時間を増やすため、昨季からはパスを繋ぐトレーニングにも時間を割いてきた。スタメンを組むので精一杯だった選手層も厚くなり、後半に選手を入れ替えてもガクっとチーム力が落ちることもない。「春先までは本当に状態が良かったので、このまま行くんじゃないかと思っていた」。そう振り返るのは、河野博幸監督だ。

 だが、ひとつ目のターゲットにしていた地元開催のインターハイは、予選の時期に守備の要であるDF稲川陽友(3年)、MF柴田侑茉(3年)など主力に怪我人が相次ぎ、ベストメンバーが組めなかった結果、全国大会の初戦で敗れた。

 選手権予選では彼らが復帰したが、思うようにコンディションが上がらない。追い打ちをかけるように12月半ばに入ると、校内で体調不良者が増え、部活動の停止を余儀なくされる。大会直前に組んでいた米子北との練習試合も、徳島を見舞った記録的な大雪で中止となり、まともな調整ができないまま、尚志との初戦に臨むこととなった。
 
 河野監督が「ずっと試合をしていなかったので、スピード感に慣れるためにも最初はやられないように意識させた。スペースを埋めて、奪った時にどうカウンターに出るかを狙っていた」と試合後に語った通り、序盤は試合勘を取り戻すので精一杯。前半を無失点で折り返そうと考えていたが、開始11分にサイドからのクロスのこぼれ球をFW網代陽勇(2年)に押し込まれた。「自分たちが狙っていた形のゲームに持っていけなかったのが痛かった」と、MF織田大翔(3年)は口にする。

 それでも、前半23分には前向きでボールを奪ったDF花房玲遠(3年)から前線のFW秋月大和(3年)に展開し、ポストプレーからFW林秀太(3年)がシュート。以降も、良い形でボールを奪って攻撃に持ち込む場面が続き、これまでの成果が随所で見られたが、1点が奪えない。

 運動量が落ちた後半は2失点を喫し、最終スコアは0-3。河野監督は選手を称えながらも、「前で奪えてはいたけど、精度が悪かった。撃ち合いをしようと思ったら、局面の精度とか個の力の差が出てしまう。そこら辺がちょっと甘かったと感じました」と話した。

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