【リーガ現地コラム】武者修行先で大ブレイク。マドリーの将来を担う驚異の19歳アセンシオ

2015年11月06日 豊福晋

20以上のクラブがレンタルでの獲得に興味を示す。

レンタル先のエスパニョールでハイパフォーマンスを続けるアセンシオ。正確なパスと鋭い仕掛けを主武器にここまで6アシストと、力強く攻撃をリードする。(C)Rafa HUERTA

 近未来のレアル・マドリーで重要な役割を担うかもしれない若者、それがマルコ・アセンシオだ。FCバルセロナと同じ街に本拠を構えるもうひとつの有力クラブ、エスパニョールで大活躍をみせ、リーガ・エスパニョーラを席巻している19歳のMFである。

 今シーズンはここまで7試合に先発出場。精度の高いパスと仕掛けで次々とチャンスを演出し、攻撃の牽引車として躍動している。とりわけ8節のベティス戦で見せた3つのアシストは圧巻で、同節のベストプレーヤーに選出。一部では「イスコ以上の才能」と謳われ、『マルカ』紙には「アンドレス・イニエスタの後継者」と絶賛された。

 マルコという名は、両親があのマルコ・ファン・バステンからとったという。母親がオランダ人のアセンシオは二重国籍の持ち主で、オランダ代表からも熱心にスカウトされた。しかし本人は、「ずっとスペインのユース代表でプレーしてきた。これからもスペインで」と、聞く耳を持たなかった。

 アセンシオは現在、マドリーから1シーズンのレンタル中の身。今夏に20以上のクラブが彼のレンタルでの獲得を目論み、マドリーの強化部門の扉を叩いたのは有名な話だ。そしていまでは想定以上の活躍ぶりに、マドリード界隈で「今冬の移籍市場で呼び戻せ」といった声も挙がっている。

 しかし、少なくとも今シーズン中はエスパニョールに残留すべきだ。

 最大の理由は、出場機会が保証されている点。マドリーが彼をレンタルに出したのは、1部での実戦経験を積ませるためだ。そのため、クラブは契約の中にある秘密の条項を盛り込んだ。それは「リーガで30試合以上に先発出場(46分以上の出場が条件)させればレンタル料を無料にする」というもの。財政的に裕福ではないエスパニョールは、これに喜んでサイン。その結果、アセンシオがこれほどの活躍を見せたのだから、言うことはない。

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