【ワールドサッカー回顧録】1980年代以降限定:一世を風靡したドリブルの十五傑(3)――マラドーナ、リトバルスキetc

2015年11月01日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

フットボール史に燦然と輝く「5人抜き」

アルゼンチンではマラドーナを神として崇める「マラドーナ教」という宗教があるほど、絶大な人気を誇っている。 (C) Getty Images

File 11
Diego MARADONA
ディエゴ・マラドーナ
(元アルゼンチン代表FW
生年月日:1960年10月30日
主な所属クラブ:ボカ、バルセロナ、ナポリ
 
 小柄ながら当たり負けないしない強靭なボディーを誇り、圧倒的な技巧と一瞬の閃きで対峙するマーカーをことごとく打破した。それら一連の動作をほぼ左足一本で繰り出した、まさにスーパーレジェンドだ。過去も現在も話題に事欠かないトラブルメーカーながら、全盛時の超絶プレーの数々は、いつまでもサッカーファンの脳裏に焼きついて離れない。
伝説のドリブル名シーン
 2007年に『ワールドサッカー』誌が史上最優秀ゴールに選んだのが、このマラドーナの「5人抜き」だ。
 
 1986年のメキシコW杯準々決勝、アルゼンチン対イングランド戦。49分にマラドーナのいわゆる「神の手ゴール」でアルゼンチンが先制する。スーパーゴールが生まれたのはその5分後だ。ハーフウェーライン付近でボールを受けたマラドーナは、ピーター・ベアズリーとピーター・リードを軽く手玉に取るとぐんぐん加速。テリー・ブッチャーとテリー・フェンウィックをかわし、最後はGKピーター・シルトンをも抜いて伝説を完成させた。
 
 後年、僚友のホルヘ・ブルチャガは「ディエゴは(神の手ゴールを)挽回しようと燃えていた。鬼気迫る形相だったよ」と回顧している。マラドーナを"神童"たらしめたふたつのゴールは、密接に結びついていたのだ。

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