「タケは私が憧れたナカタを彷彿させる」ソシエダのレジェンドは久保建英と日本代表をどう見ている?「スペインは油断していると危ない」【インタビュー】

2022年12月01日 ミケル・レカルデ

「スペイン語のレベルは私より上かもしれない」

主に左サイドのアタッカーとして活躍したデ・ペドロ氏。(C)Getty Images

 ハビエル・デ・ペドロはレアル・ソシエダのレジェンドの1人だ。クラブ史においてロペス・ウファルテに次ぐ最高のレフティと位置付けられている。育成クラブとして名高いアンティグオコで本格的にサッカーを始め、そのプレーがスカウトの目に留まり、ソシエダのカンテラに加入した。93年にトップチームデビューを果たすと、翌シーズン以降、主力に定着。変幻自在のクロスを武器に、長年、ソシエダの攻撃を牽引し、左SBアグスティン・アランサバルとの縦のコンビ、セルビア人FWダルコ・コヴァチェビッチとの強力タンデムはチームの売りになった。

 スペイン代表の一員としての最大のハイライトは、日韓ワールドカップだ。チームが疑惑の判定で準々決勝敗退を余儀なくされた中で、MVP級の活躍を見せた。思ったことをすぐに口に出してしまうタイプで、その性格が原因で喧嘩別れのような形で04年にソシエダを退団。その後は、ブラックバーン、ペルージャ、ヨーテボリ、ペルージャ、ブルゴスなどクラブを転々とし、寂しい晩年を送った。曲がったことが嫌いな天才肌。インタビューの受け答えからも伺えるように、現役を引退してから15年が経過した今も、デ・ペドロはデ・ペドロのままだ。

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――今シーズンのソシエダをどう見ていますか?

「いいんじゃないかな。3つのコンペィションを戦わなければならない中で、よくやっている。ただまだまだ先は長い。ルイス・アラゴネスが口癖にしていたように、ラスト10試合を迎えるタイミングで好位置につけて、そこからが本当の勝負だ」

――チームの目標はどこに設定すべきでしょうか?

「今の戦いを続けること。ラ・リーガではトップ8をキープすることが重要になる。ソシエダにはそれだけのメンバーが揃っている。コパ(デル・レイ)はこれからだし、ヨーロッパリーグでは首位通過だ。ここまで素晴らしい戦いを見せている。これ以上望むことはない」

――アスレティック・ビルバオとのライバル関係について日本人のファンにどのように説明しますか?

「日本と韓国の関係に似ているんじゃないかな。最近は以前に比べ、随分ソフトになってきたけど、バスクサッカーの最高峰を決する試合であることに変わりはない。負ければ長い間、周囲のビルバオファンにいじられ、勝てば、楽しい気分になる。いたってシンプルさ」

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――クボ(久保建英)の獲得が決まった時の印象は?

「嬉しかったよ。クラブはヤヌザイの後釜を必要としていて、理想的な選手を獲得したからね。実力的にはもっとできるはずだったヤヌザイを上回るだろう。それは18歳でマドリーと契約した事実が物語っている。その後、ラ・リーガのチームを転々としていたけど、運がなかった。そんな中、サンセバスティアンという完璧な街とソシエダという完璧なチームに辿り着いたわけだ。

 スペイン語を信じられないほど流暢に話す。そのうち牛肉の炭火焼を食べにシドレリア(シドラ[リンゴ酒]の醸造所)に連れて行ってもらえるだろう。日本人が日頃、食べているようなステーキではない。断っておくが、私は日本の文化に心酔している。今日にでも日本を訪れたいよ。憧れの選手の1人がナカタ(中田英寿)だったしね」

――ここまで説得力のあるプレーを見せていると思いますか?

「素晴らしいの一言だ。強気な姿勢がいいよね。ドリブルがダイナミックで、シュートが上手くて、常に積極的で、仲間思いだ。しかもナイスガイだ。エゴイスティックなところがない。欲を言えば少し高さが足りないけど、これでサイズに恵まれていれば、今頃ミランのようなチームでプレーしているはずだ。ソシエダは彼にとって完璧なチームだ」

――クボの強みと課題は?

「ラ・リーガの基準から見ると、少し高さが足りない。でもそれを補ってあまりある大胆不敵さを持っている。フィジカルも見た目よりも強いしね。度胸があって、どんな状況でもどんな相手にも物怖じしない。素晴らしいよ。ダイナミックで、常に動きながらボールを要求し、ドリブルスキルに長け、年齢の割にクロスの精度も高い。それでいてエゴイスティックなところがない。語学の問題がないことも大きい。スペイン語のレベルは私より上かもしれない。私が勝っているのはスラングくらいだろう」

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