【指揮官コラム】特別編 三浦泰年の『情熱地泰』|日本人らしさとはなにを指すのか?

2015年10月29日 サッカーダイジェスト編集部

タイは「スマイルの国」、ブラジルは「サンバの国」、では日本は……。

日本らしいサッカー、日本人の良さを活かしたサッカーとはいかなるものなのだろうか。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 今シーズン、指揮を執ったタイは、東南アジアで唯一、植民地になったことのない国だという。一方、僕が18歳から20歳までサッカー留学をし、現在も永住権の関係で必ず2年に1回行っているブラジルは、南米でありながらポルトガル語を言語としている。ポルトガルに占領された過去があるからだ。
 
 タイは現在『スマイルの国』と言う。「サワディーカップ」という挨拶は「こんにちは」「こんばんは」「おはよう」「ごきげんよう」「お元気ですか?」……、すべてを意味した言葉。「サワディーカップ!」と両手を合わせ、「ニコッ」と笑う(この笑いがミソだ)。これがタイの挨拶。どんな時でもだ。
 
 聞いた話だが、この挨拶は政府が作ったもので「私たちは喧嘩をしませんよ」というメッセージだという。これが「スマイルの国」の由来だ。
 
 一方のブラジルは『サンバの国』ラテンの根っからの明るさから、サンバのようにいろんな事をサンバのリズムで行なう。もちろんサッカーもサンバのリズムだ。この『サンバカーニバル』は1年間働いたお金をすべてサンバカーニバルの衣装に使うとも言われている。
 
 そしてそれを楽しむブラジル人にはアメリカ系からイタリア、フランス、勿論、白人から黒人、インディオ、日系人もいる。それは移民国家の素晴らしさでもある。
 
 さて、こうして他の国を見てきて思うのは、では「日本とはどんな国なのか?」ということだ。よく「日本らしいサッカー」をやるというが、日本人らしさとは何であろうか?
 
 タイから戻った僕は、タイを『スマイルの国』と題し、ブラジル留学から戻った当時には、ブラジルを『サンバの国』と題した。もちろんサッカーとコーヒーで有名な『サンバの国』ではあるが……。
 
 しかし、自分の国を題することなど考えたこともなかった。タイから帰国して僕は、タイと日本での生活から、日本は『考える国』と題してみようと思った。
それは自分の正直な氣持ちからだ。

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