【プレミア現地コラム】ウェストハムを変えた「ジダン以上」のパイエ

2015年10月29日 山中忍

プレミア10試合で5ゴール・3アシスト。

シュートチャンスを生んだキーパスの本数は、エジルに次ぐリーグ2位の4.1本(1試合平均)を記録。 (C)Getty Images

 ウェストハムのムードは変わった。
 
 前半戦の好調は4位でクリスマスを迎えた昨シーズンと同様だが、ホームスタジアムのアプトン・パーク界隈には、1年前とは桁違いの高揚感が漂っている。9シーズン前、カルロス・テベスとハビエル・マスチェラーノを同時に獲得してスタートした序盤戦以来の盛り上がりだろう。
 
 クラブOBの人気者、スラベン・ビリッチの監督就任も一因だが、東ロンドンを包む熱気の源は、その新監督が「絶対に欲しかった」と認めているディミトリ・パイエの加入。低重心のドリブルが目を引く攻撃的MFを、「テベス似」と言ったのは解説者のガリー・ネビルだが、巧く、強く、そして貪欲にプレーするスタイルは、かつての「エネルギー源」に負けていない。
 
 アーセナルとの開幕戦(2-0)で決めた先制アシストを皮切りに、プレミアリーグ10試合で5ゴール・3アシスト。シュートチャンスを生んだキーパスの本数は、3年目のアーセナルでいよいよ本領を発揮しはじめたメスト・エジルに次ぐ、リーグ2位の4.1本(1試合平均)を記録している。
 
「ジダン以上」と歌われるチャントは、同じフランス人のパイエにしてみれば最大級の歓待だろう。「心に響いた」と語る彼は、早くもウェストハム・ファンの心をがっちり掴んでいる。ビルドアップで辛抱強く繋いでいる時も、素早いカウンターで迫る時も、パイエがボールを持てば観衆が沸くのだ。

次ページスタンドでも路上でもパイエの讃歌を合唱。

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