【セリエA現地コラム】混迷するミラン。ミハイロビッチ監督の解任も⁉

2015年10月28日 片野道郎

ベルルスコーニ・オーナーの不満は臨界点近くまで達している。

「シーズン途中の解任はミランのスタイルに反する」と語るベルルスコーニ・オーナー(左)だが、すでにガッリアーニ副会長(右)に後任候補のリストアップを指示か?(C)Getty Images

 ローマやナポリ、フィオレンティーナという中・南部勢がセリエAの首位戦線を賑わすなか、精彩を欠いた戦いぶりで10位(9節終了時点)に低迷しているのが、名門ミランだ。
 
 今夏の就任からわずか4か月で、シニシャ・ミハイロビッチ監督解任に向けた空気が濃厚に漂っている。
 
 10月23日、毎週恒例となっているミラネッロ(ミランのトレーニングセンター)訪問の際に、オーナーのシルビオ・ベルルスコーニは、記者からミハイロビッチの去就について問われ、「シーズン途中の解任はミランのスタイルではない」とその可能性を明確に否定した。
 
しかし、その2日後のセリエA9節でサッスオーロを2-1で下し、4試合ぶりの勝利を挙げたにもかかわらず、ミランの周辺では解任説が囁かれ続けている。
 
 その大きな論拠となっているのが、ほかでもないベルルスコーニの振舞いだ。
 
 サッスオーロ戦をサン・シーロのVIP席から観戦している間、何度もTVカメラに抜かれたその表情は常に不満そうな仏頂面。そして試合が終わって最初に足を向けたのは、ミランではなくアウェーチーム用のロッカールームだった。
 
 そこでベルルスコーニは、サッスオーロのエウセビオ・ディ・フランチェスコ監督の手腕を褒めちぎり、選手たちに対しても「今日の君たちには、引き分けが相応しかった」と賛辞を惜しまなかった。
 
 その後ミランのロッカールームにも顔を出したものの、型通りのねぎらいの言葉をかけただけで、早々にスタジアムを後にしたという。
 
 相手GKの退場で60分近くを数的優位の状態で戦ったにもかかわらず、主導権を握って一方的に攻め立てるどころか、しばしばサッスオーロの逆襲に遭ったミラン。その低調な戦いぶりを目にして、ベルルスコーニがかねてから抱いていた指揮官への不満が臨界点近くまで達したことは、もはや誰の目にも明らかだ。

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