【選手権代表校】青森山田|屈辱の敗戦バネにプレミアEASTで快進撃! 悲願の全国優勝を目指す『東北の雄』

2015年10月28日 安藤隆人

予選決勝は難敵を相手に苦しみながらも勝利を手繰り寄せる。

青森山田(青森)/19年連続21回目
所在地:青森県青森市青葉3-13-40 創立:1918年
主なOB:橋本和(浦和)、ロメロ・フランク(山形)、柴崎岳(鹿島)、櫛引政敏(清水)など。
写真:安藤隆人

 現在、3試合を残し、プレミアリーグイーストで首位をキープしている青森山田が、選手権も19年連続21回目の出場を決め、全国に先駆けて勝ち名乗りを挙げた。
 
 今年のチームもタレント揃いで、かつ要所に飛び抜けた武器を持つ人材が配置されている。最終ラインは仙台入団内定のCB常田克人がいるが、決して彼に頼っている訳ではない。右SBにはロングスローの名手・原山海里がおり、左SBには『史上最高のキャプテン』と呼び声の高い北城俊幸がいる。
 
 さらに最後尾にはU-18日本代表の守護神・廣末陸がおり、リーダーシップが取れる北城、原山、廣末の3人が牽引しているのは大きい。
 
 チームの心臓となるダブルボランチは住永翔と高橋壱晟の2年生コンビが形成し、トップ下には湘南入団内定の神谷優太が構える。1トップはまだ固定されておらず、スピードのある鳴海彰人、突破力のある田中優勢、ポストプレーが得意な豊島祐希と、個性の違う3人がポジションを競っている。
 
 両サイドも嵯峨理久、吉田開、三上孝太らがポジションを争い、さらに県予選決勝の八戸学院光星戦では、1年生のMF郷家友太を途中投入するなど、選手層は着実に厚くなっている。
 
 しかし、八戸学院光星との決勝は大苦戦を強いられた。激しい風雨にも苦しめられ、思うようなサッカーが展開できなかった。特に神谷と高橋の攻撃の要が機能せず、ペースを掴めない時間帯が続き、相手の鋭いカウンターを受けることも多かった。
 
 だが、「八戸学院光星は良いチーム。この試合は厳しくなることは分かっていた。だからこそ、大差で勝つなんて思ってはいなかった。最初から1−0、2−0を想定していた」と黒田剛監督が語ったように、チームに焦りはなかった。
 
 廣末が集中力の高いプレーで、ゴールをがっちりと守ると、北城が味方を鼓舞し、来季のキャプテン候補の住永も、「攻撃が行き詰まっているなかで、バランスだけは崩さないようにした」と、頭脳的なプレーで攻守のバランスを支えた。後半開始早々に鳴海がゴールをこじ開けると、後は全員が集中して守りきり、辛勝ながらもきっちりと選手権出場を掴んだ。
 
『勝つのが当たり前』と見られているなかで、苦しみながらも焦らずに勝利を手繰り寄せる。内容だけを見たら、課題だらけだが、チームのベースがしっかりとできていることは明白だ。だからこそ、プレミアリーグでも厳しい戦いをモノにして、首位に立つことができている。

次ページプレミアEASTでの快進撃を呼び起こした“夏の屈辱”。

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