【日本代表 26の肖像|鎌田大地】2019年に初招集、紆余曲折を経て真のエースに。ドイツ戦は「僕たちも勝てる可能性はある」

2022年11月18日 元川悦子

自信に満ち溢れる日本のキーマン

もはや替えの利かない存在へと成長した鎌田。司令塔かつ得点源としての活躍に期待がかかる。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 いよいよ開幕が迫るカタール・ワールドカップ。森保一監督が率いる日本代表は、いかなる戦いを見せるか。ベスト8以上を目ざすサムライブルー、26の肖像。今回はMF鎌田大地(アイントラハト・フランクフルト)だ。

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「ドイツはメンバー的には豪華だと思います。だけど、バイエルンも今までみたいに上手くいっていないし、所属クラブで苦しんでいる選手もいる。本当に強かった時のドイツとはまた違う。僕たちも勝てる可能性はあるのかなと感じます」

 今季フランクフルトで公式戦12ゴール・3アシストという華々しい成果を残している鎌田大地。11月23日に迎え撃つカタール・ワールドカップ(W杯)初戦の相手、ドイツに対しても全く動じていない。

 W杯4度制覇の強豪と同じ目線でサッカーを見られるのも、昨季にヨーロッパリーグ制覇、今季はチャンピオンズリーグで、ここまで3得点という実績ゆえだろう。自信に満ち溢れる日本のキーマンは実に頼もしい。

 2018年9月に森保ジャパンが発足した時点では、鎌田はA代表に招集されるような状況ではなかった。2017年夏にサガン鳥栖から赴いたアイントラハト・フランクフルトではフィジカルや強度の壁にぶつかり、再起をかけてシント=トロイデンにレンタル移籍したところだったからだ。

「シント=トロイデンでは上(格上のリーグ)に戻るために、点だけにこだわった。得点以外は何もしてなかったと思う」と本人も言うほどゴールに徹底的にこだわり、公式戦13ゴール。目覚ましい活躍と得点力を認められ、翌19-20シーズンにはフランクフルト復帰を果たしたのである。

 目に見える成長の跡を示した鎌田を森保一監督も放っておかず、2019年の3月シリーズで初招集。9月から始まった2次予選では大迫勇也(神戸)不在の1トップでも試されるほど、前線での決定力に期待が大きかった。
 
 だが、本人は「自分はそんなに点を取れる選手じゃない。ベストなのは8番か6番(ボランチ)」と語っており、よりボールを握りながら組み立てに関与する形を希望していた。

 それが叶い始めたのが、コロナ禍の2020年。比重の高かった10月のコートジボワール戦と11月のメキシコ戦で、鎌田はトップ下で先発。日本の新たな司令塔と位置づけられるようになる。

 それまでは南野拓実(モナコ)がこの位置を主戦場としていたが、点取り屋の南野より、鎌田が入ったほうがよりボールが回り、組み立てのバリエーションが広がる。

 その前向きな効果を指揮官も認め、2021年には「中村俊輔や香川真司(STVV)の系譜を継ぐMF」と目されるようになった。
 

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