「辛かった」伊東純也に慰められた苦悩の1年目を経て…レギュラーを掴んだコルトレイクの渡辺剛。新加入の田中聡は“本音”「長所がベルギーでは通用しない」【現地発】

2022年11月16日 中田徹

田中と渡辺とのダブルボランチが実現

コルトレイクで奮闘する田中(左)と渡辺(右)。(C)Getty Images

 ベルギーのコルトレイクに所属する日本人2人が、レギュラーとして奮闘している。今年1月、FC東京から移籍した渡辺剛(25歳)は、昨季半シーズンは14試合中7試合の出場に留まったが、今季はチームの主力として17戦フル出場を継続している。最近になってCBからセントラルMFにコンバートされた。これには「日本では経験したことのないポジションです」と当人もビックリだ。

 湘南ベルマーレ出身のMF田中聡(20歳)は、ベルギーリーグが開幕してからコルトレイクに入団した。デビュー2戦目の第7節、オイペン戦から7試合連続スタメンとしてプレー。体調を崩したことから2試合休養を取ったが、11月6日のオーステンデ戦から戦列に復帰した。

 11月13日のヘント戦で田中がスタメンに戻ったことで、渡辺とのダブルボランチが実現した。ベルギーリーグの好チームの一つ、ヘントが相手だったうえ、25分という早い時間帯でコルトレイクに退場者が出てしまったことから、0-4という大差で負けてしまった。順位も18チーム中17位と低迷している。しかし、2人とも「コルトレイクはいいチームです」とポジティブに日々を過ごしている。

【W杯PHOTO】南野、久保、伊東、堂安…日本代表・欧州組がカタール到着時に披露した"クールな私服"姿を総チェック!
 2022年からチャレンジの場をベルギーに選んだ両名にヘント戦後、スタジアムで話を伺った。

「良い1年でした」。そう渡辺は2022年を振り返った。1月、コルトレイクに入団してしばらく出場機会に恵まれたものの、その後4試合続けてベンチ外の憂き目にあった。復帰戦ではサイドバックを任されたが、翌節はベンチを温めた。

 最も辛かったのはベンチ外になって2試合目のヘンク戦(2月27日)だった。試合前のアップが終わった後、コーチから「今日はスタンドで試合を見ていてくれ」と告げられた。2時間半かけて遠征したのに控えにすら入れなかった。試合が終わってから伊東純也(現スタッド・ドゥ・ランス)のところへ「はじめまして」と挨拶に行くと「ああ、いたんだ」と驚かれた。

「今日はベンチに入れませんでした」と渡辺が言うと、伊東は「ベルギーでは多いことだから」と慰められた。事実、試合前のアップに参加しながら、ベンチにすら入れなかった日本人選手は他にもいる。

「ああ、俺は何をしに(アウェーまで)行ったんだろうって。チームは負けて『俺が出ていれば』と思っても、試合で使われないとなにもできないので。あの時期が一番辛かったです」
 

次ページ「ボランチをやってみたら、監督もしっくりきちゃったようで」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事