【日本代表 26の肖像|シュミット・ダニエル】9月のエクアドル戦で正守護神に肉薄。197センチの長身GKは最後の砦になれるか?

2022年11月12日 元川悦子

レンタル移籍を経て、頭角を現した遅咲きの選手

本大会を前に評価を高めているシュミット。初戦のドイツ戦でピッチに立てるか。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 いよいよ開幕が迫るカタール・ワールドカップ。森保一監督が率いる日本代表は、いかなる戦いを見せるか。ベスト8以上を目ざすサムライブルー、26の肖像。今回はGKシュミット・ダニエル(シント=トロイデン/ベルギー)だ。

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「エクアドル戦のPKストップは、実は90分の試合の中では初めてだったんです。今まではPK戦のシュートしか止めたことがない。反響はありましたよ(笑)。

 ただ、流れの中のプレーを見直すと、ハイボールはもっと遠くへ弾き飛ばす感じでやりたかった。『出る・出ない』の判断基準をしっかりすることが大事。武器である高さを活かすことで、チームを助けられるプレーも増やせると思います」

 11月1日の日本代表メンバー発表前最後のテストマッチでMVPに輝いたシュミット・ダニエルは、自らのプレーを冷静に分析していた。一つひとつの物事を冷静に客観視でき、一喜一憂せずに落ち着いて対処できるのが、30歳になった守護神の強み。

 その人間力や197センチの世界基準のサイズを含めて、23日のドイツ戦のスタメン抜擢は大いにありそうだ。

 森保ジャパン発足時に代表初招集されたシュミットは、J2の熊本や松本などへのレンタル移籍を経て、頭角を現した遅咲きの選手だ。初キャップは2018年11月のベネズエラ戦。2019年アジアカップにも帯同し、それ以降は常連になったが、この4年間は「権田修一(清水)の控え」という位置づけから抜け出せなかった。
 
 もちろん本人の向上心は凄まじく、2019年夏には高みを追い求めてシント=トロイデンへ移籍。代表の先輩・川島永嗣(ストラスブール)のような短期間でのステップアップを狙った。

 だが、1年目は怪我でシーズンの半分を欠場。2、3年目はコンスタントに出場したものの、残念ながら今も"ベルギー脱出"は叶っていない。

 それでも、速さや強さ、高さを備えた外国人FWとの対峙を繰り返し、反応に磨きをかけたことで、プレーに余裕が生まれたのは確かだという。
 

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