【遠藤保仁が語る中村俊輔】ライバルというより友だち。代表のレベルを一つ、二つと上げたナンバーワンのキッカー

2022年11月10日 サッカーダイジェストWeb編集部

プロとしての姿勢。他の選手に良い刺激を与え、良いお手本に

FKのキッカーとしては俊輔(左)と双璧をなす遠藤(右)。盟友の大舞台での勝負強さも称えた。(C)SOCCER DIGEST

 かつて共に戦い、敵として激しく争った男たちが稀代のファンタジスタを語りつくす――サッカーダイジェスト渾身の一冊『中村俊輔 引退特集号』に戦友が寄せた"熱き言葉"。本稿では遠藤保仁(磐田)のメッセージをお届けする。

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 薄々引退するようなことを聞いていたので、「やっぱりか」という感じでした。本人も怪我との戦いがあったはずで、その様子を間近で見ていて大変そうだったので、44歳という年齢までよく頑張ったんじゃないかなと思います。

 攻撃でのアイデアや流れを変えられる一本のパスはもちろん、FKは日本一上手い選手で、その辺りはクローズアップされるべきだと思います。あとは見えないところでかなり努力していたので、プロとしての姿勢を、他の選手に良い刺激を与えながら、良いお手本になっていたと思います。

 彼は負けず嫌いで、ゲームを支配しながら試合を決めたいという強い意志を持っていたし、何よりも上手くなりたい一心でやっていました。本当に努力に妥協しない選手でした。サッカーが大好きだからこその努力だし、あれだけの才能を持ちながら努力し続けられることが、本当に凄いと思います。
 
 代表の活動中も常にFKやシュート練習をやっていました。ホテルに帰れば身体のケアも丁寧にしていたので、そういう姿は間近で見てきて凄いなと感じていました。若い頃から"中村俊輔"というのを確立していたので、それを経験が豊富になってきたベテランになってもやり続けていた選手でしたね。

 FKは正確かつ状況に合わせたキックができますし、それ以上にゴールが決まる雰囲気を醸し出せるので、僕が一緒にプレーしたなかでは間違いなく、ナンバーワンのキッカーでした。ニアにもファーにも決めることができて、どちらのサイドからでもキーパーサイドに蹴れる上手さがありました。

 コンフェデレーションズカップ(03年)のフランス戦で決めたFKのように、大舞台でも決め切る力を持っていたので、それを間近で見ていてやっぱり上手いな、と。
 

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