【藤田俊哉の目】堅守速攻のコンセプトが見て取れる26人。ドイツ戦、1トップの先発は浅野と予想

2022年11月02日 藤田俊哉

サプライズを挙げれば原口の落選か

藤田氏推奨のドイツ戦スタメン11人。

 ついにカタール・ワールドカップに臨む日本代表のメンバー26人が発表された。

 全体的に見れば、ほとんどサプライズのない順調な選考だったと言えるのではないか。

 後ろのポジションは経験豊富な実力者で固めて、前のポジションは勢いがある若い選手のフレッシュなプレーでバランスを取っている。スピードのある選手たちの攻撃がイメージできる。森保一監督らしい一体感のある堅守速攻のサッカーを展開したいというコンセプトが見てとれる。

 強いてサプライズを挙げれば、原口元気の落選だろうか。森保監督は「ユーティリティのある経験者ではなく若手のフレッシュな野心にかけた」といった表現を会見でしていたが、一番悩んだところだったのは容易に想像がつく。

 その理由は後述するが、特に前線にポストタイプではなく、スピードのある浅野拓磨、前田大然の2人が入ったのは、「堅守速攻」の表われだろう。

 日本が戦うグループステージでは、ワールドカップ優勝国のドイツ、スペインがいて、コスタリカだって2014年ブラジル大会でベスト8に入った強豪国だ。日本も力がついてきたとはいえ、堅守速攻型のコスタリカとは似たタイプだが、ドイツとスペインに対しては、どうしても主導権を握られてしまう可能性が高い。

 6月の欧州ネーションズリーグのドイツ、スペインを見ても、その傾向は明らかだ。
 
 例えば、ドイツはイタリア、イングランド、ハンガリーと対戦し、およそ65%のボール支配率をマークしていた。スペインの場合も、ワールドカップ予選でおよそ65~70%という驚異的な数字を叩き出している。これはドイツと並んで参加55か国中トップの数字である。

 ドイツやスペインが誇るボール支配率「65%」は、もちろんリスペクトすべき数字だが、それを打ち破ることが、今回のワールドカップのミッションではない。

 ドイツとスペインとの対戦では「ほとんどの時間で相手にボールを握られる」と仮定し、スピードのあるFWを揃え、その爆発力を活かしたいと選んだはず。

 さらに言えば、このメンバーは、森保監督が9月のドイツ遠征で話していた「ターンオーバー」を十分に考慮した人選だ。ゴールキーパーを含め、それぞれのポジションに「最低2人」は選ばれているのは当然として、「リードしている状況だった場合」「1点を奪いに行きたい状況の場合」といった具体的なメンバー交代を何度もイメージしたと想像できる。

 同じメンバーで勝ち上がることができるほど甘くはないし、むしろターンオーバーを活かした総力戦で突破口を見出したいと考えるのは当然と言える。
 

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