「タケが飛車角落ちの攻撃陣を牽引」“鬼門”で黒星も…久保建英の孤軍奮闘に番記者が賛辞! 幻のゴールには苦言「大災難。最大の被害者だ」【現地発】

2022年10月26日 ミケル・レカルデ

2つのゴールを取り消され、レッドカードも“スルー”

敗れたバジャドリー戦でもインパクトの残した久保。(C)Getty Images

 不吉な予感はあった。バジャドリー遠征は毎年、ファンが楽しみにしている行事の一つだ。しかしもうかれこれ20年以上、白星から遠ざかっている。実力で決して上回る相手ではないことが相性の悪さを印象付ける。何らかの理由で、毎回、勝点を取りこぼしているのだ。

 したがって公式戦8連勝と絶好調のレアル・ソシエダにとってバジャドリーとのアウェーゲームは一つの山場だった。イマノル・アルグアシル監督はキックオフ1時間前まで招集メンバーを発表しなかった。アレクサンダー・セルロトが前日、全体練習を欠場し、出場できるかどうか微妙な状況だったためだろう。

 しかしバジャドリーがスタッフを送り込み、遠征メンバーにセルロトの姿があるか確認すれば明らかになることだ。昨今、多くのクラブが多くの場面でこうして情報を隠したがるが、果たしてどこまで意味があるのか私には理解できない。

【動画】ソシエダ番記者も「大災難。最大の被害者」と嘆き!幻となった久保建英の強烈ゴラッソ
 いずれにせよ、ミケル・オジャルザバル、アンデル・バレネチェア、モハメド=アリ・チョ、ウマル・サディクに続く前線の選手の欠場者だ。この非常事態にイマノル監督は、2トップの一角にタケ・クボ(久保建英)とともに前日、「まだ90分プレーできる状態にはない」と吐露していたカルロス・フェルナンデスを起用した。

 バジャドリーはソシエダをよく研究していた。ただでさえ連戦による疲労の蓄積の影響で全体的に動きが鈍いソシエダは嫌がるところを突かれ、自分たちのペースで試合を進めることができなかった。そこに拍車をかけたのが、レフェリーの判定だ。2つのゴールを取り消されたのはもちろん、ハビ・サンチェスがイエローカード2枚で退場処分となるべきところも"スルー"された。大災難である。

 その最大の被害者が他でもないタケだった。この日も、強靭なパーソナリティを発揮し、飛車角落ちの攻撃陣を牽引。セルロトが不在の中、右サイドを主戦場にしながら、相手がハイプレスを仕掛けるタイミングを見計らって中盤に顔を出して、この日は沈黙したダビド・シルバがいつも行うような、攻守のつなぎ役を担った。

次ページ日本人ファンも一緒になって喜び、一生の思い出になるはずだった

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