J1残留かけた“静岡ダービー”、清水はカウンターで優位性もセットプレーの守備に課題。白崎は「全責任を負うつもりで戦う」と闘志

2022年10月21日 前島芳雄

勝敗を最も左右するのはメンタル面。だが…

清水がJ1残留をかけた静岡ダービーに挑む。白崎は「逃げずに立ち向かう」と覚悟を示した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 清水エスパルスは10月22日、J1第31節でジュビロ磐田と対戦する。

 何もない時でも非常に白熱する静岡ダービーだが、これほど大きなものがかかった状況で激突するのは、1999年のチャンピオンシップ以来ではないだろうか。

 残念なのは、今回はタイトルではなくJ1残留をかけた戦いであることだが、選手の覚悟や必死さという意味では前者と変わらない熱量が見られるはずだ。

 そう考えると、勝敗を最も左右するのはメンタル面と言えそうだが、まずは内容的にポイントになりそうなところを整理していこう。

 大前提として、どちらも絶対に勝点3が欲しい試合なので、0-0で良しとはならない。そのために、点を取るという面では、両チームともにカウンターが大きな武器となる。

 できれば高い位置でのボール奪取からのショートカウンターが理想という点も共通している。そのため、前線からプレスをかけてボールを奪いにいく姿勢は、どちらも時間帯や状況によって出していきたいところだろう。

 磐田は、先週の横浜F・マリノス戦では堅守速攻をベースにしぶとく1-0で勝ったが、清水の乾貴士は今節に関して、「うちを相手にそれをやってくるのかは分からないし、もっと前からくるかもしれないので、いろいろな想定をしながら準備していかないといけない」と言う。
 
 清水としては、前節の川崎フロンターレ戦(2-3)で、相手に前からプレッシャーをかけられた時のビルドアップに課題が見えた。それだけに磐田が前からきた場合、それでもつなぐのか、前線のチアゴ・サンタナに向けて長いボールを蹴っていくのかが注目される。

 磐田のカウンターに対しては、「相手が守備で疲弊してカウンターに出てこれないような状況を作り出したいと自分たちは思っています。あとは、カウンターを受けるシーンも何回かは必ずあると思うので、自分やセンターバックが常に声をかけ合って、集中してやっていこうと思います」とボランチの松岡大起は語った。

 逆に清水としても、90分を通して前からいくのか、あるいは時間帯を絞って勝負にいくのか。その際に全体で連動してボールを奪いきれるのか。カウンターを発動した際の破壊力は、T・サンタナや北川航也、カルリーニョス・ジュニオ、中山克広らを擁する清水のほうが相手を上回るはずなので、チーム全体で共通した狙いを持ってやりきれるかがポイントになるだろう。

 どちらかが押し込んで、一方がゴール前を固める時間帯もあるだろうが、その際にも清水には優位な部分がある。

「真ん中から攻めようとすると、横浜のようにカウンターを受けてしまう可能性もあるので、サイドから揺さぶって揺さぶってというのがベストだと思います。うちはチアゴみたいに高い選手がいるし、サイドでは(山原)怜音もすごくクロスがうまいし、突破力もあるので、そういう選手を生かしていきたいと思います」(乾)

 乾が言う通り、左の山原だけでなく、右にもヤゴ・ピカチュウ、原輝綺、片山瑛一など良いクロスの出し手がいる。ゴール前にはT・サンタナだけでなく北川もいる。そうした武器をどう生かすかが、大きな注目点となる。
 

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